ゾウプロジェクトからふりかえるアフリックの20年(会報第21号[2024年度]巻頭言①)
岩井雪乃 「ゾウだー! ゾウだー!」 6 月はトウモロコシの収穫期。つまり、ゾウがもっとも村にやってくる時期だ。毎晩のようにゾウが畑を襲ってくる。今、トウモロコシが一番おいしくなっていることを、ゾウもよくわかっている。ゾ…
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岩井雪乃 「ゾウだー! ゾウだー!」 6 月はトウモロコシの収穫期。つまり、ゾウがもっとも村にやってくる時期だ。毎晩のようにゾウが畑を襲ってくる。今、トウモロコシが一番おいしくなっていることを、ゾウもよくわかっている。ゾ…
近藤史 2005年にアフリカ便りで紹介した「凄腕の鍛冶屋」を覚えているだろうか。トタンを打ち延ばした板を張り合わせてパラボラアンテナを自作した、あの鍛冶屋だ。彼の他の作品もいつか紹介したいと書いたまま、20年ちかく経って…
八塚 春名 アフリックのエッセイのなかに、死を扱うものはいくつもあって、読むたびに泣いてしまう、わたしにとっての神エッセイのひとつが、井上真悠子さんの「全ては神さまが決めること」だ。このエッセイは、井上さんの知人であり、…
藤本 麻里子 今日一日、誰とも一言も話さなかった。 現代日本社会で一人暮らしをしている若者にとっては、あるいは中高年層の人々の中にも、こういう一日を経験している人は珍しくないかもしれない。私が独身で一人暮らしをしていた3…
岩井雪乃 今日は曇っていて、月もなく真っ暗な夜だ。そこに15人の男たちが集まっている。彼らは、大岩(コピエ)の上に登り、セレンゲティ平原に向かって耳を澄ましている。普段はおしゃべり好きな彼らだが、今は誰も話さない。懐中電…
近藤 史 胸元に男性や女性の顔写真を配したポロシャツ。タンザニアの農村で見かけたこのシャツは、有名人のグッズだろうか。それとも選挙立候補者の後援会ユニフォーム?丸くトリミングされた写真の周囲に文字が書かれている。左のシャ…
井上真悠子 生まれも育ちも大阪の市街地だった私は、植物や農業とはあまり縁がない生活だった。祖父が北部の山に畑を持っていたので、幼い頃は何度か祖父の畑に芋掘りに行ったことがあるが、私が見た景色は、せいぜい、フェンスで囲まれ…
藤本 麻里子 日本人の大多数は借金をとても敬遠し、人によっては忌み嫌います。実際に私も、借金はできるだけしたくないし、しないように生活することが重要だと日々考えています。とはいえ、車や住宅の購入といった大きな買い物をする…
八塚春名 タンザニアの公用語であるスワヒリ語は、アルファベットを用いて記述する。だからアルファベットを知っていれば、わたしもなんとか読めるし、書ける。タンザニアで調査を始めることに決めた20年前のわたしは、四苦八苦しなが…
紹介者: 大石高典 タンザニア北東部、アフリカ最高峰キリマンジャロ山(標高5895m)の麓にルカニ村はある。ルカニ村に住んでいるのは、バントゥー系のチャガの人々である。村人たちは、樹木を残しながら自給作物と一緒にコーヒー…
近藤 史 焼畑のなごりの切り株にひょいっと置かれたプラスチック製のボトル。ときおり畝たての手をとめた人が近づき、ひとくち、ふたくち中身を飲んではまた農作業にもどっていく。畑をみまわすと、あちらの畝の傍らにも、こちらの草…
八塚 春名 つい先日、「きのうビビ・アガタの埋葬だったよ」というメッセージがタンザニアから届いた。その2 週間前には「ムゼー・マーヌが亡くなった」と電話で聞いたばかりだった。ムゼー・マーヌ(マーヌじいさんの意味)は村一番…
溝内 克之 「舗装道路からクワ・マングールワ市場を抜け、山道を10分ほど下るとベアタさん(仮名、女性)が建てた新しい家があるので、その角を左に曲がる。そこからすぐ右手に見えてくる黒い鉄のゲートの家が私のホームステイ先だ。…
八塚春名 月末に近づくと、女性たちが「クリニックの日」について話している。「何日に行こうか」、「一緒に行こうよ」と約束しあう女性たち。そして当日の朝になると、彼女たちはきれいなアフリカンプリントのドレスを着て、背中に子ど…
岩井雪乃 2020年度は、コロナ禍の影響で、プロジェクト担当の岩井は現地に行くことができませんでしたが、パートナーNGO・SEDERECのダミアンが、村の人たちと協力して活動を進めてくれました。メッセージや電話で連絡を取…
井上真悠子 「女がおとなしくしてると、男は太鼓のように女を叩き続けるから」 「女は、黙って我慢してたらダメなんだよ」 これは10年以上前、私がタンザニアの島嶼部ザンジバルで調査をしていたときに、夫に殴られたと言って実家に…
岩井雪乃 2019年、過去最多のゾウによる死亡事件 活動地であるセレンゲティ県では、2019年は、ゾウに襲われて死亡する事件が過去最多となり、7名の被害者がでてしまいました。図を見てもらうとわかるように、セレンゲティ県は…
八塚春名(タンザニア) 2016 年 9 月のある日、朝からみんながゴミ拾いをはじめた。コーラやスプライトのペットボトル、ビールの空き瓶*、ビニール袋、ビスケットの包装袋、段ボール。それらを一か所に集めて燃やしていたの…
近藤 史 タンザニア南部ンジョンベ州の農村に通い続けて、かれこれ20年が経った。そのあいだに、彼の地では植林が盛んになり、はげ山の連なっていた丘陵が黒々とした森で覆われ、林業景気に沸いた。土壁に草葺き屋根の家々がみるみる…
溝内 克之 「検査の結果は、アメーバ赤痢。なにか変なもの食べたり飲んだりした?え、ムベゲ?街で買ったムベゲ。それが原因ね。街のムベゲは、キタナイからね。」 私を診察したタンザニア人医師は、日本人がバナナの酒ムベゲを飲んだ…