ソコニイルカ・プロジェクト

ベナンでの職業訓練所・無料宿泊所の運営プロジェクト

 

アフリック・アフリカでは、2019年より新たに、西アフリカに位置するベナン共和国のプロジェクトを開始することになりました。ベナンのアラダ市で困難な状況にいる子どもや、暴力を受けた女性のための施設を運営していくというものです。この施設では、孤児や経済的支援が必要な家庭の子どもたちを受け入れ、職業訓練を行う場、そして市の福祉センターと連携しながら、家庭内暴力を受けた女性が無料で宿泊できる場にしています。

毎月の連載

 

施設と支援を受ける子どもたち

プロジェクトについて

ベナンは平均余命、教育及び所得などから見た「人間開発指数」 では189カ国中163位と世界の中でも貧しいとされる国の一つです(2018年、UNDP)。そうした経済状況にありながらも、多彩な文化があり、子どもも大人も活きいきと生活する国です。

しかし、親を亡くすなどして厳しい家庭環境にいる子どもや、見知らぬ家庭にほとんど無賃で奉公に出され、職業選択の機会が得られない子どもも多いということも事実です。また、家族から暴力を受け、苦しい状況で日々を暮らす女性も少なくありません。

そこで私たちは、過酷な状況にいる子どもたちや、暴力を受けた女性に少しでも役に立つために、志あるベナンの人と共に現地NGO「ミドフィ」(現地語で「私たちはここにいる」の意味)を設立しました。このNGOを通して、私たちは二つの活動をしています。

①社会的に不利な状況に置かれた子どもに、無料で職業訓練を提供する。

②家庭内暴力に苦しむ女性に、問題が解決するまで一時的な生活の場所を提供する。

持続的な支援をするため、これらの運営資金は海外の援助に頼らず自分で調達できるよう、施設の一部分を賃貸部屋として一般の人に貸し出し、NGOの収入にしています。その収益で、子ども達や女性の食費や訓練費用、現地スタッフの活動費用などを賄っています。

 

私たちはこのプロジェクトを、日本での活動名を「ソコニイルカ」、ベナンでは「ミドフィ(フォン語で、わたしたちはここにいるという意味)」と名付けています。ベナンでは相手が横にいることがわかっていても、時々「そこにいるか?」と声をかけます。相手がただ自分と一緒にここにいる、ということを大切にする文化なのです。相手が何をするではなくても、存在していること自体が大事だと考えているといえるかもしれません。日本とベナン、生活の空間は違っても、お互いの存在を起点に声をかけあえるような関係を作っていきたいという思いで、私たちはこの名前を選びました。

この活動を「援助」と大仰に考えるのではなく、社会的にしんどい立場にある人たちに、挨拶をするように気を掛け “それなりに”生きやすい社会を目指したいと思っています。

 

これまでの活動の経緯

・2016年2月 べナンで土地を取得

・2017年6月 クラウドファンディングで116万円の支援を得る。

・2017年9月 メンバーの自己資金と、支援金で建物が完成。活動を開始する。

・2019年12月 5人の少女を職業訓練生として受け入れながら、彼女たちが国家試験を受けるまでの支援をしている。

 

活動の体制

・ベナン:現在ベナンNGO専従スタッフ ロジェ・ガンダホ、職業訓練主人2名

・日本:村津蘭(現地調整/ベナン研究)、池邉智基(広報/セネガル研究)、関野文子(会計/カメルーン、スリランカ研究)、朴聖恩(ウガンダ研究)

以上のメンバーで、活動しています。

 

メンバーの出資と支援金で、3つの店舗と9つの部屋からなる長屋型の建物を完成させました。この店舗で子どもたちを見習いとして受け入れ、併設された髪結いサロンや仕立屋をそれぞれの店主が運営し、子どもたちの職業訓練をしています。子どもたちは将来的には髪結いや仕立ての国家資格を取得することを目指しています。

今後は、このページ上でエッセイや活動報告を載せていきます。プロジェクトをはじめるにあたって、そして現在運営している中でも、たくさんの苦労や達成がありました。施設運営の経過とさまざまな体験を、みなさんに紹介していきたいと考えています。

※ 少女たちには私たちが日本で広報のために写真を使うことについて説明しており、使用許諾をとっています。また、少女たちのプライバシーや個人情報については十分に配慮し、彼女たちにも説明をした上で使用しております。なお、家庭内暴力を受けたためにシェルター利用をした女性については、顔を映さないよう配慮しています。

 

 

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