中学校8校でゾウ獣害対策研修を開催

岩井雪乃

2020年度は、コロナ禍の影響で、プロジェクト担当の岩井は現地に行くことができませんでしたが、パートナーNGO・SEDERECのダミアンが、村の人たちと協力して活動を進めてくれました。メッセージや電話で連絡を取り合っています。

農村生活はコロナの影響ほとんどなし

タンザニアの農村部は、コロナの影響をほとんど受けずに生活が続いています。一部、観光関係で働いていた人たちは、もちろん大きな経済的損失を受けています。しかし、もともと地元の人が観光関係で働ける枠は少ないので、大多数は農民です。農民の最大の関心事は、「雨が降るか/降らないか」です。いつものように、天候に一喜一憂しながら、畑で汗を流し、その畑をゾウから守るという生活が、コロナ前と変わらず続いています。

雨に合わせて牛で畑を耕すいつもの日常

1年間、安眠できたミセケ村:電気柵の効果

活動地であるミセケ村の人々は、この1年は、ゾウの襲撃をほとんど心配することなく、ぐっすり眠れる日々を過ごすことができました!というのも、村と猟獣保護区の間に電気柵が建設され、2020年1月ごろから稼働しはじめたのです!設置したのは、2002年からセレンゲティ地域で活動しているNGO、Grumeti Fundです。電気柵の効果は絶大で、ミセケ村へのゾウの侵入はほとんどなくなりました!!たまに、柵の終点から回り込んで入ってくる、大雨やヌーの大群の突進でフェンスが壊れた部分から入ってくる、ということがありました。しかし、それは年に2-3回ほどで、基本的には夜の見張りは必要なくなったのです。

20kmにわって設置されたゾウ用電気柵

正直、私は電気柵がうまくいっていることにとても驚いています。人びとが受け入れずに壊してしまうか、あるいは、動物が壊してしまってゾウを防げないのではないかと疑っていました。しかし、結果は今の所、大成功しています。

しかし、賢いゾウは、慣れてきたら、あの手この手で工夫して壊そうと試みてくるでしょう。今は目新しいので恐れていても、油断は禁物です。そうならないように、追い払いチームは、Grumeti Fundと連携して、壊れている場所を見つけて速やかに修理するよう動いています。

電気柵のない地域では、引き続きの被害

とはいっても、これで被害がすべてなくなったわけではありません。ミセケ村のあるセレンゲティ県は、150km、30村にわたって保護区と接しています。そのうち、電気柵があるのは20kmほど、ミセケ村を含む5村だけです。その他の地域では、引き続きゾウの襲撃があります。昨年も、少なくとも2名がゾウに殺されてしまったことは聞いています。ゾウ対策支援は、引き続き求められています。

中学校8校でのゾウ獣害対策研修

今年度の新しい活動として、セレンゲティ県内の中学校8校でゾウ獣害対策研修を実施しました。ミセケ村の追い払いチームメンバーが講師となって、ゾウ獣害の内容、ゾウが好む作物/好まない作物、爆竹機を使った追い払い方法などを教えました。生徒たちも、大変喜んで参加していました。

爆竹機を練習する生徒

全校生徒の説明する追い払い隊のメンバー

私たちの研修プログラムには、政府機関が高い関心を示しており、今後、連携することになるかもしれません。というのも、ゾウ獣害問題は、セレンゲティのみならずタンザニアの各地で年々拡大しており、国民から政府の対応を求める要望が強まっています。うまく連携して、拡大していきたいと思います。