知るために旅をせよー「旅する」
桐越 仁美 「どうして故郷を離れて商売の仕事をするようになったの?」 私は、西アフリカの経済移民を調査している。この質問をすると大概は「村にいても、乾季には何もできなくなるから」という返事が返ってくる。西ア…
NPO法人「アフリック・アフリカ」のホームページです
桐越 仁美 「どうして故郷を離れて商売の仕事をするようになったの?」 私は、西アフリカの経済移民を調査している。この質問をすると大概は「村にいても、乾季には何もできなくなるから」という返事が返ってくる。西ア…
牛久 晴香 「ハロー、アニャリガマ。今どこにいる?」 「今は〇〇村にいるよ」 「そうか……(誰かと会話している声)……」 「……(黙って会話が終わるのを待っている)……」 ブチッ、ツー、ツー、ツー。 ガーナ…
牛久 晴香 笑いにノレない時がある。とくに「イジり」と「ブラックジョーク」が苦手だ。関係性によっては許されるのだろうが、自分には笑う資格があるのだろうか、とか、どこが面白ポイントなんだろう、などと考えてしまう。「自虐ネタ…
桐越仁美 2020年からアフリカに渡航できておらず、友人たちには長らく会えていない。安否確認も兼ねて、時折ニジェールやガーナの友人とWhatsAppやFacebookで通話をする。新型コロナウイルス(COVID-19)の…
牛久 晴香 「修理ができないほど、この地域は貧しいのか。」2010年のフィールドノートに、わたしが書いた文章だ。このころわたしはガーナ北部のボルガタンガ地方の村で住み込み調査をはじめたばかりだった。村を歩くと、あちこちで…
牛久晴香 私事で恐縮だが、3月に書籍を出版した。ガーナ北部のボルガタンガ地方にお世話になって11年、やっとこれまでの成果をまとめることができて、ひとまずほっとしている。最終稿を提出したとき、世界がここまでの状況になると…
桐越 仁美 ハジヤは、いつも違う人の子どもを預かって育てている。両親が離婚して母親が出て行ってしまったから。両親が仕事で失敗して養育費を捻出できなくなったから。子どもを預かる理由は様々だ。自分自身も7人の子どもを育てあげ…
牛久 晴香 4月から札幌で新しい生活をはじめた。北海道の初夏は本州より2ヶ月ほど遅れてやってくるようだ。先日遅い衣替えをしているとき、9年前にガーナの両親からもらった「モタネ」のドレスが出てきた。カラフルなアフリカンプリ…
牛久 晴香 「ねえ、アニャリガマ。この色はいまいちかしら。」 アラーヒはバスケットをグルっと一周させ、できばえを確認するそぶりをしながらわたしに尋ねる。彼女はわたしの返事を分かっているに違いない。 「とってもいいじゃない…
織田 雪世 美にかける情熱は、国境をとわない。幼いころ、母親の美容院通いにつき合わされて閉口した。なぜ何時間も費やしてパーマをかけるのだろう。でも、気がつけば自分もそれと同じことをしている。そして、はるか海をへだてた西ア…
桐越 仁美 私は今、学生の就職支援をおこなう民間企業で勤務している。日々、就職活動に励む学生たちと話をして、就職活動の状況について話を聞いたうえで自社のサービスを紹介する仕事をしている。そういう私自身も、数ヶ月前まで就職…
桐越 仁美 私の調査地のひとつであるガーナ北西部の町ロウラは、ガイドブックによると「木琴で有名な町」と紹介されている。私はロウラの町から2㎞ほど離れた農村で、ホストファミリーの家に住み込んで調査している。比較的涼しい午前…
織田 雪世 「そんな言い方しないんだよ。明日死んじゃうかもしれないんだから」 サマタの口調に、わたしは驚いた。たいした話をしていたわけではない。明日は何時にご飯の支度をするのか、聞いただけなのだ。でも、ガーナ北部の村で生…
桐越 仁美 「バーバ、あの人たちは泥棒じゃないよ。」 「おまえたちは全然わかっていない。あいつらはコーラナッツを狙っているんだ。」 朝食をすませ、家の前でのんびりと話をしていると、村のみんなの笑い声とともにいつもの会話が…
織田 雪世 おしゃれな女性、にはみえなかった。ネグリジェか肌着のようなものを身にまとい、そのなかの胸は重く垂れて、けだるそうなお腹に続いている。薄めの髪はクリームがかった白色で、一部をまるで思いついたかのように三つ編みに…
織田 雪世 「そんなの、やりすぎだよー」 友人たちが言った。ガーナでの仕事を終え、単身赴任先の首都アクラから夫の待つ東京へ帰って1ヶ月後のことだ。遅ればせながらの「新婚」生活はとても楽しいけれど、家事能力のあまりない私…
織田雪世 「美人は3日で飽きる」という。ガーナでも同じよ、とアフィ姉さん。「だいたいね、男の人をつかまえておくのに必要なのは、顔じゃない、その胃袋をつかまえることなの。いい?男の人は、あなたのもとに帰ってくるんじゃないの…
織田 雪世 教会バンドの演奏が始まった。私たちは立ちあがり、順に正面へ進んで、募金かごにお金を入れていく。流れる音楽は弾み、喜びに満ちている。踊るように身体を動かしながら歩く人、席に戻っても座らず、両手を天に向かって広げ…
織田 雪世 エフィアが帰ってきた。11時間もバスに揺られ、はるばる国境をこえて帰ってきた。「イェー!」バスから降りた道端で、出迎えたわたしと笑顔満面、がっちり抱きあった。 「エイ!ナイジャ。ナイジャってナイジェリアのこ…
織田 雪世 アクラ(ガーナの首都)の人たちは嘘がうまい…などと言うと、誤解をまねくだろうか。「かならずしも本当ではないことを言う」のを嘘とするなら、の話なのだが。 たとえば朝、道で顔なじみと挨拶する。「おはよう、どこへ行…