緑の服
山口亮太 今回のエッセイシリーズを担当するにあたって、僕がテーマに選んだのは緑だった。特に積極的な理由があったわけではないが、これまでに調査してきたカメルーンでもコンゴ民主共和国でも、僕は熱帯林地域に住み込んでいたため、…
NPO法人「アフリック・アフリカ」のホームページです
山口亮太 今回のエッセイシリーズを担当するにあたって、僕がテーマに選んだのは緑だった。特に積極的な理由があったわけではないが、これまでに調査してきたカメルーンでもコンゴ民主共和国でも、僕は熱帯林地域に住み込んでいたため、…
服部志帆 私が調査の対象としてきたカメルーンの「バカ」は、長いあいだ狩猟や採集、漁労を生業として暮らしてきた人々である。彼らの暮らす熱帯雨林は、ゴリラやチンパンジー、ゾウなど日本でも動物園でおなじみの哺乳類が野生状態で暮…
大石高典 自分の持ち物に名前を書きなさい…このような指導は小学生のころから身にしみついている。おまけに、私はモノの管理が苦手で、自宅の中ですらすぐにモノを散らかしたり、なくしてしまいがちである。そんなこともあって、私は大…
関野 文子 村のたまり場のベンチに座って、男性たちがおしゃべりをしている。膝の上や足元には赤ちゃんがいて、思い思いに遊んでいる。カメルーン熱帯雨林地域の集落で狩猟採集民バカの調査をしていると、よくみる光景である。女性た…
林 耕次 アフリカの熱帯地域で、定住した狩猟採集民バカ・ピグミーの調査をするようになって長く経つが、彼らと生活をするなかで、自分自身の習慣や常識を考えさせられることが幾度となくあった。 狩猟採集社会が「平等主義社会」であ…
大石 高典 新型コロナウイルスのパンデミックが続く中で、私が通い続けているカメルーン東南部の森の世界からも、政府やNGOなど様々な主体によって行われる予防対策の様子が現地の友人・知人からSNSで送られてくる(写真1)。 …
関野文子 熱帯雨林のキャンプでの夕食時、大きな声が響きわたった。私は、カメルーンに暮らす狩猟採集民バカの人たちを調査するために彼らとともに森のキャンプに滞在していた。その声の主は、バイさんという年配の男性だった。何かと思…
関野 文子 昼食を食べて落ち着いた昼過ぎ、アジェキ、ンボレ、ビビアなどいつものメンバーに「水浴びをしにいこうよ」と声をかけられた。私は、昼下がりに必ず村の女の子や女性たちと水浴びにいくのが日課になっていた。まだ日が高いう…
林 耕次 アフリカの熱帯雨林で人類学的な研究を長くつづけているが、人びとの排…
林 耕次 毎年、日本で初夏を迎える頃になると、物置から取り出してくる敷物(ござ)がある。 それは、カメルーン東部州の森林地帯に暮らす、定住した狩猟採集民バカ・ピグミーのおばちゃんに編んでもらった「ブング(búngù)」と…
小山 祐実 カメルーン東部には狩猟採集民ピグミーのバカの人たちが広範囲にわたって住んでいる。バカたちは甘いものが大好き。日本人と一緒にコーヒーを飲むときも角砂糖を最低4つはいれ、それでもまだ遠慮しているようだ。バカ語で味…
塩谷 暁代 庭の梅が少しずつ大きくなってきたよ、と息子が言いに来た。彼は、梅干しが大好きだ。今年も庭の梅が梅干しになる日を心待ちにしている。昨年は25キロの梅がとれた。その梅干しはもうない。息子が遊びに来る友達に「おもて…
原作:安岡 宏和、漫画:庄司 航 ※本作品は「中部アフリカ研究」のウェブサイト(URL:https://sites.google.com/view/casinkyoto/%E8%A1%A8%E7%B4%99?authus…
関野 文子 カメルーン東部州は森の果実が豊富に実る時期を目の前にしていた。私はピグミー系狩猟採集民バカの集落に滞在していた。曇り空の午前中、私の住む家の外でいつものように子どもが遊ぶ声がしてきた。しかし、今日はいつもと少…
塩谷 暁代 ここは中部アフリカ・カメルーン東部の村。政府統計上は人口2000人、とあるが村は閑散としている。歩いているのは、小さな子どもか中・高年の村人ばかり。若者の姿はほとんど見られない。それもそのはず、この村には小学…
服部 志帆 私はカメルーンの熱帯雨林に暮らす狩猟採集民バカ・ピグミーの研究をこれまで16年間ほど続けてきた。ここ数年は足が遠のいてしまっているが、20代前半から30代前半まではずいぶん多くの時間を森の民とともに過ごしてき…
山口 亮太 2010年8月、カメルーン共和国東南部での3回目のフィールド調査も残すところ2週間程度となった頃のことであった。下宿先の大家夫婦は朝から畑に出ており、僕は一人で家に残り、書きためたフィールドノートを読み返し、…
塩谷 暁代 中部アフリカに位置するカメルーン共和国。その首都ヤウンデの「台所」である市場は、今日も賑やかだ。わたしのフィールドは、村ではなく、畑でもなく、都市の市場である。この国は豊かだ、と心から思うのは、市場に溢れんば…
安田 章人 我々は、すぐに彼らの痕跡を見つけた。真新しい足跡と排泄物。どうやら、この小高い丘を登っているようだ。気づかれないように、そして臭いをかぎつけられないように、息を殺して風下から群れに近づく。丘を登り切ったとき、…
塩谷 暁代 気候や生態の多様性から「アフリカの縮図」とよばれるカメルーン共和国は、言語環境も多様で、250以上の言語があるといわれている。そんな多言語国家カメルーンの公用語は、フランス語と英語。フランス領から独立したフラ…