第113回アフリカ先生報告(高松市美術館、2024年3月17日)

井上 真悠子

香川県高松市にあるJICA四国センター主催のイベントとして、「アート✕国際理解」をテーマにティンガティンガのワークショップをおこないました。美術系コースがある高校生を中心に、計21名にご参加いただきました。アフリックのアフリカ先生としては丸5年ぶりに油性ペンキを使用したティンガティンガ体験教室でした。

はじめに、「ティンガティンガ」とはなにか、どこでどんな人たちによって描かれてきた絵であるかについて、解説をおこないました。タンザニアという国じたいになじみがない方も多かったようで、皆さん熱心に説明を聞いてくださっていました。

そしていよいよティンガティンガの絵付け体験です。色の作り方や配色の基本などを簡単に説明した上で、赤・青・黄・白・黒の5色のペンキから自分でさまざまな色をつくり出し、丸筆と平筆を使い分けながら描いていきます。

今回も時間の都合上、ベースとなる動物のシルエットまで描きあがった状態の素材板を持ち込んで、参加者の方々には最後の仕上げ部分だけを体験していただく形にしました。油性ペンキは水性ペンキよりも乾燥に時間がかかるため、ドライヤーも活用しながら描きすすめました。美術館の講座室という、作業に適した環境を使わせていただけたおかげで、ドライヤーを3台同時に使用してもブレーカーが落ちる心配もなく、大変円滑に作業をすすめることができました。

光沢のある油性ペンキを使い、独特の配色で色を重ねていくことで、鮮やかな色彩を生みだします。最初は迷いながらおそるおそるペンキを触っていた方々も、描きすすめるうちにどんどん楽しくなってきたようで、講座時間の終わりが近づいても、もっと描きたいとギリギリまで頑張って描き続ける方が何人もおられました。

参加者の方々が作成したコースター

 

今年度は水性ペンキでのティンガティンガ教室も開催しましたが、やはり油性ペンキを使うと、参加者の方々の「もっと描きたい!」という気持ちがより強くなるように感じました。ペンキののび具合や発色の鮮やかさなど、油性ペンキ独特の魅力を体験していただけたのではないかと思います。

今回のイベントの主催者であるJICA四国センターには、所長さんをはじめ、タンザニア勤務経験がある職員の方々がおられ、当日はタンザニアの衣装の展示などもされていました。

参加者の方々からは、「一枚の絵ができるまでに時間がかかることがよくわかり、アーティストさんのすごさが伝わってきた」「鮮やかな色彩を使ってのワークショップだったので気分が上がった。自宅にも一枚欲しくなった」「ティンガティンガという絵の由来を知ることができたことが大変学びになった。背景を知ることでより深く楽しめる」「グラデーションや細かい作業が少し難しかった。色を混ぜたりして楽しかった」「普段と全く違う絵を描けてすごく楽しかった」といった感想をいただきました。このイベントが、タンザニアやティンガティンガに興味をもつきっかけになっていたら嬉しいです。