研究とアフリックと私(会報第21号[2024年度]巻頭言②)
松浦直毅 2024年 5月、大阪大学で開催されたアフリカ学会で「研究と実践の融合」をテーマにしたフォーラムを開催した。アフリック 20 周年という節目に企画したものであり、登壇者はすべてアフリックのメンバーで、それぞれが…
NPO法人「アフリック・アフリカ」のホームページです
松浦直毅 2024年 5月、大阪大学で開催されたアフリカ学会で「研究と実践の融合」をテーマにしたフォーラムを開催した。アフリック 20 周年という節目に企画したものであり、登壇者はすべてアフリックのメンバーで、それぞれが…
岩井雪乃 「ゾウだー! ゾウだー!」 6 月はトウモロコシの収穫期。つまり、ゾウがもっとも村にやってくる時期だ。毎晩のようにゾウが畑を襲ってくる。今、トウモロコシが一番おいしくなっていることを、ゾウもよくわかっている。ゾ…
山口亮太 長かった新型コロナウイルスによる行動規制は、流行の収束と言うよりは経済的・政治的理由により世界中で終わりを迎えつつある。その是非を問うことは私にはできないが、一つだけ確かなことがある。これでようやく、アフリカに…
佐藤 秀 2022 年3 月12 日、4年ぶりに搭乗した国際便の機内はこれまでと全く様相を異にしていた。新型コロナ感染症の拡大によって乗客は激減し、ガラガラの機内で横3つのシートを使って贅沢に-エコノミークラスではあるが…
溝内克之 「マラハバって言ってくれたおばあちゃんやろ。」 4歳の長男に、タンザニアのおばあちゃんの訃報を伝えるとそう応えた。「マラハバ」とは、年長者への挨拶「シカモー」への応答の挨拶だ。2年ほど前、初めて私の調査村を訪れ…
牛久晴香 私事で恐縮だが、3月に書籍を出版した。ガーナ北部のボルガタンガ地方にお世話になって11年、やっとこれまでの成果をまとめることができて、ひとまずほっとしている。最終稿を提出したとき、世界がここまでの状況になると…
安田 章人 ご存じのように、アフリックのメンバーの多くは、ほぼ毎年アフリカ各地の調査地へ赴き、現地調査をおこなう研究者である。しかし、私は2014年2月以来、自分の調査地に行っていない。これは、私の調査地がナイジェリアと…
村尾 るみこ アフリカに行き始めて、16年が過ぎた。それなりの期間にわたってアフリカとお付き合いしている理由は何なのかと、さまざまな場で聞かれる。とはいえ、アフリカとお付き合いさせてもらうのは、私にとってどこか当たり前に…
松浦 直毅 私がフィールドワーカーとしてささやかに誇れることがあるとすれば、2002 年に調査をはじめて以来、途切れることなく毎年アフリカに行っていることである。この10 数年のあいだには、学位取得や就職などの節目があり…
岩井 雪乃 アフリックの産声 10年前、アフリックの設立準備の会議に、私は2歳の長女の手を引いて、次女がいる大きなおなかで出席していた。博士論文は、いよいよ仕上げに入っていた。 「アフリックを立ち上げよう!」と真剣に考え…
目黒 紀夫 今の日本では、アフリカの情報が身近に溢れている。そうしたなかで、これからさらにアフリックが活動を拡げていくためには、具体的な取り組みを充実させるだけでなく、より多くの人に知ってもらって支えてもらうことが必要だ…
服部 志帆 今年4月から大学で専門的にアフリカを教える機会に恵まれた。私が担当している授業はアフリカの入門から、応用色を強めたゼミに至るまで、すべてアフリカに関するものである。私が受け持つ学生の大半は、ヨーロッパ・アフリ…
八塚 春名 日本でアフリカの楽しい話をすると、「そうはいっても、アフリカには紛争やエイズや干ばつなど、問題が山積みではないか」と指摘されることがある。山積みの問題を無視して、人びとの知恵や工夫、豊かな自然利用など、ポジテ…
黒崎 龍悟 国際協力に関心がある・かかわっているというと「立派ですね」などといわれることがある。一見、好意的にみえるこの意見は、世間の国際協力というものに対する偏ったイメージをあらわしている。 国際協力へのかかわり方やそ…
近藤 史 最後のタンザニア調査行から2年。私は大学院を修了し、以前は生活の一部ともいえたアフリカから離れて、日本の農村地域で働き始めた。日本とアフリカ、双方の農村活性化に繋がる研究をしたいと思っているが、一朝一夕にはゆか…
西 真如 数名の人間が一緒になって何かをはじめようというとき、昨日まで自分が生きてきた世の中に何かを付け加えたいという思いが、そこにはあるのだと思う。付け加えられたその何かは、それまでの世界を、ほんの少し違ったものにする…
丸山 淳子 暑いカラハリの真っ昼間、めずらしく1人でぼんやりしていた私に、突然、小さなお皿が差し出された。お皿の上には揚げたてのドーナツが4つのっている。さっきまで、甲高い歌声を響かせながら、跳ねまわっていた3人の少女達…
西崎 伸子 アフリカのどんな田舎に行っても子どもたちがサッカーに興じる姿を目にする。彼らは空気が抜けてペコペコになったボールを日が暮れるまで裸足で追い掛ける。そして大人たちは,もはや日本では「遺物」となったアナログ式ラジ…
荒木 美奈子 7月6日グレンイーグルズで主要国首脳会議(G8サミット)が始まったが、翌7日サミット開催を狙ったとみられる同時多発テロがロンドンで起こった。その衝撃は大きく、繰り返されるテロや戦争の前に、再度世界が怒りや悲…