Feel Concerned about Africa! 〜アフリカに関心をもとう〜(会報第3号[2005年度]巻頭言)

西崎 伸子

アフリカのどんな田舎に行っても子どもたちがサッカーに興じる姿を目にする。彼らは空気が抜けてペコペコになったボールを日が暮れるまで裸足で追い掛ける。そして大人たちは,もはや日本では「遺物」となったアナログ式ラジオのチューナーを必死で合わしたり,居酒屋兼レストランのど真ん中に置いてある,村に一つしかないテレビの前に大勢がひしめき合ったりしてサッカーの試合を「観戦」する。私は今年のサッカー・ワールドカップを見ながら,試合の熱気に興奮するアフリカの人々の姿を思い浮かべていた。

アフリカでお世話になった人々のことを思い浮かべるのは,なにもサッカーに関してばかりではない。日常的にも「アフリカの人々はどう思うだろう」,「アフリカだったらどうするだろう」とアフリカモードにスイッチを切り替える瞬間がある。よくあるのは,役所などで効率の悪い作業を目の当たりにしてイライラし始めたときに,アフリカモードに切り替える。そうすると,「一日で終わるのなら,今日はツイテいる」と妙に寛容になれるといった些細なことである。アフリカ的考えを身に付けると,同じ事柄でも少し違った見方ができたり,問題への新たな解決方法を発見できたりする。日本に居ながらにして無意識のうちにアフリカ的考え方に浸り,さらに実践的「活用」をしているのだ。これはアフリックの会員に共通する特徴だと思う。人はこれを「アフリカ熱にとりつかれている」と言う。

昨年度は「アフリカ先生プロジェクト」の講師派遣依頼が相次いだ。講師となった会員はアフリカで過ごした日々を思い出しながら,聴衆者にできるだけわかりやすい言葉で伝える努力をしてきた。アフリカ熱にとりつかれた自分たちと同じように「アフリカが気になって仕方ない」人々が増えてほしいと願っているからだ。アフリカを旅行したり,アフリカの人々とコミュニケーションをとる機会の少ない人々でも「気にすること」はできる。関心をもつことは、異文化理解の第一歩となる。

アフリック・アフリカの活動は今年で3年目を迎えた。タンザニアではセロプロが継続し,新しく「雨基金」を創設した。日本では,会員がフィールドで撮りためていた写真を用いて写真展を開いた。さらに,昨年度はマスコミからの取材を受けることもしばしあった。これまで私たちが関わってきたアフリカの人々に失礼のないよう,会員同士で議論を尽くして取材に対応してきた。私たちは3年目の活動をより充実したものにしていきたいと考えている。そのためには,今まで以上に真摯にアフリカの人々とかかわり続け,アフリカに対する日本人の関心を喚起する活動に精力的に取り組んでいく必要がある。みなさま,何卒これまでと変わらぬご支援をお願いします。

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日本とアフリカに暮らす人びとが、それぞれの生き方や社会のあり方を見直すきっかけをつくるNPO法人「アフリック・アフリカ」です。