ケニア南部の半乾燥地で調査をしていると甘い飲み物ばかりを飲んでいる。ひとつには砂糖たっぷりのミルクティーを毎日朝昼夜になかば食事がわりに、もうひとつには、これまた実は砂糖たっぷりの炭酸飲料を町でしばしば。
強い日差しのもと、朝から夕方まであちこちの集落をまわって聞き取りをしたあとに飲む炭酸飲料は格別だ。ケニアで炭酸飲料というとコカコーラとファンタ・オレンジが人気で、町のはずれや道路ぞいの小さな売店にもたいてい置かれている。私の調査地であれば、そういう売店で売られている炭酸飲料はまずたいてい常温保存なのだが、意外に常温の方がキンキンに冷えたものよりも飲みやすいし、甘い味もしっかり感じられて疲れた体には嬉しい。
いっぽう、そうした炭酸飲料がおやつみたいなものであるのにくらべて、私が調査している牧畜民社会であればミルクティーはチャイと呼ばれるのだが、それは食事がわりの飲み物といえる。実際、毎日朝食はコップ2杯のチャイだし、長老のなかにはトウモロコシなどの野菜を食べるのはあまり好きじゃなくて、3食チャイでいいという人もいる。
このチャイはとにかく甘い。誰かの家で飲むにしろ町の食堂で飲むにしろ、直前まで火にかけられていたようなつくりたてのものがカップに注がれることが多いのだが、それはとても熱いのと同時にかなり甘い。あんまり熱いと味わって飲む余裕もないのだが、ぎゃくにこのチャイが冷めてしまうと甘すぎて飲むのがつらくなるぐらいだ。家で飼っているウシから毎日絞られる牛乳も味がとても濃く、ミルクとティーの両方の味が濃厚なケニアのチャイを飲みなれてこのかた、日本でミルクティーはほとんど飲まなくなってしまった。朝食がチャイ2杯というのは、普通の日本人の感覚からすると腹持ちがいいとはとても思えないかもしれない。ただ、濃厚なチャイ2杯がもたらすエネルギーはなかなかどうしてすごく、わたしはそれだけで昼過ぎぐらいまでなら調査を十分にこなせてしまう。
さて、今年の夏もなんだかだいぶ暑いですが、ためしにレモン(グラス)チャイなんて作ってみませんか?