敵は誰だ?(タンザニア)
岩井 雪乃 マチャバじいさんは弓矢の名手だ。 「この弓矢で、俺はライオンを9頭殺したことがある。敵は2人倒したぞ」 調査をはじめて間もない頃、マチャバじいさんは、誇らしげに語った。 敵? 私が調査するイコマの人々にとって…
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岩井 雪乃 マチャバじいさんは弓矢の名手だ。 「この弓矢で、俺はライオンを9頭殺したことがある。敵は2人倒したぞ」 調査をはじめて間もない頃、マチャバじいさんは、誇らしげに語った。 敵? 私が調査するイコマの人々にとって…
成澤 徳子 ザンビア南部に暮らすトンガの人びとにとって、乾季は祝いの季節である。終日畑仕事に追われる雨季が明け、どの家の穀倉も主食のトウモロコシでいっぱいとなる6月、村びとの間ではたくさんの行事の予定で話題が持ち切りとな…
丸山 淳子 六月。南半球に位置するカラハリ砂漠では、寒い季節を迎える。狩猟民として知られるブッシュマンも、絵はがきのなかでは、皮のふんどし一枚で原野を闊歩しているが、この季節、そんな格好じゃ、寒くてしかたがない。とりわけ…
丸山 淳子 緑の小さなノートとペン。ブッシュマンたちと過ごすあいだ、私はこの2つを手放すことはない。日々、直面すること、聞かせてもらった話を記すことは、調査生活の基本といってもいい。そうでもしなければ、私には、あの豊穣な…
藤本 麻里子 自分の母語について読み書きが出来る、このことを私は当前のように考えていた。日本では義務教育の小学校に上がる前から各家庭では、両親が子供にひらがなを教えたり、自分の名前の漢字を書けるように教えたりする。ところ…
井上 真悠子 「同居人に、『あなた、私のこと呪ったでしょ!』って言われたんだよ・・・」タンザニアの島嶼部・ザンジバルに滞在していたとき、友人の一人が憮然としながらつぶやいた。それが、私が初めて「呪う」というスワヒリ語を知…
藤本 麻里子 これは、2007年7月に調査中だった、タンザニア西部、キゴマ州のトングウェの人々が住む村で私が受けた忠告でした。私がトングウェ語について調査していた時でした。トングウェ語を熱心に教えてくれる一人の親切な老婆…
八塚 春名 私が始めてタンザニアに行った時、最初の3週間は、ダルエスサラームという大きな町にある大学の施設で寝泊まりしていた。その敷地内のすみには小さな家があり、そこには庭師の家族が住んでいた。小柄なババ(スワヒリ語で「…
安田 章人 アフリカ中央部・カメルーン共和国北部。ここには比較的湿潤としたサバンナがひろがる。サバンナといえば野生動物を連想するように、ここにも様々な動物が生息している。そして、そこに住む人々も野生動物と密接な関係をもち…
服部 志帆 言葉の説明から始めさせてください。まずバカについてですが、バカはカメルーンの熱帯雨林に暮らす狩猟採集民です。バカは歌と踊りの民として知られており、彼らが奏でる美しい歌声と人間離れした踊りはこれまでに多くの人々…
西 真如 エチオピア高原の長い雨期が明ける頃になると、首都アジスアベバで暮らす商人達が一斉に店を閉め、自家用車や貸切のバスを連ねて故郷の村へと出発する。 彼らが目指すのは、アジスアベバから150kmほど南西にある南部州グ…
石本 雄大 サヘル地域,ブルキナファソ北部にあるタマシェクの村でのこと。 乾いた大地に手拍子が響く。30人ほどで輪を作る女性たちの刻むリズム。手を叩くたびに頭を下げ,腰を折り,かがむ。幾多の手が発す音は重なり,身体の動き…
黒崎 龍吾 南部タンザニアの季節は雨季と乾季にわかれ、雨季は耕作の季節となる。そして雨季に播かれた作物は乾季に収穫される。雨季のどんよりとした天候のなか、連日の労働で疲れた表情とは対照的に、乾季は快晴の天気とともに人びと…
岡本 雅博 ダンダンダダダダーン、ダダダダダダダダダダーン・・・・。力強い太鼓の轟音が深夜の氾濫原に響きわたる。樹木の叢生が少ないオープンランドであるザンベジ川の氾濫原では、太鼓の響きを遮るものは何もない。 毎年、ザンベ…
鈴木 郁乃 数年前のお正月をエチオピアの農村で迎えました。大晦日の夜にはラジオでは一年を振り返り、エチオピア正教の司祭の祈りが伝えられ、元旦には、滞在先の子供たちが、部屋の床に刈りたての青草を敷き詰め、装飾用に花を生けて…
近藤 史 クリスマスからお正月にかけて、日本や欧米ではのんびりと過ごすことが多いですね。キリスト教徒がたくさんいるタンザニアでも、学校やオフィスにはクリスマス休暇があります。けれどもこの時期、タンザニア南部・ンジョンベ県…