西宮今津高校での「アフリカ先生」を振り返る(日本)《10》

北村 也寸志

私の勤務する兵庫県立西宮今津高等学校で2004年度から2013年度までの10年にわたり、「アフリカ先生プロジェクト」を実施してきました。しかしながら、学習指導要領の改定により、3年次の選択科目「自然環境と人間」が廃止されるのに伴って、いったんプロジェクトを終えることになりました。10年という区切りは計画だてたように思えますが、区切りをつけたらたまたま10年だったというだけで。

当初、「環境教育公開講座」として始まりましたが、アフリックのメンバーをコアに、アフリカから東南アジア、日本における人々が自然とともにどのように暮らしているのかを見てきました。そこから、異なる自然環境や社会構造を越えた普遍的な人と自然の関係性を考えていくことが10年を通したコンセプトでした。登壇した講師は、私も含めて実人数で46人(うちアフリック34人)、のべで90人(うちアフリック72人)にのぼりましたから、1年に7人ずつ、大半のメンバーが西宮今津高校で授業をしたことになります。西宮今津で授業をしたことのないメンバーはモグリだ!というくらいです。初期の頃に先生を務めた丸山淳子さん、近藤史さん、服部志保さん、西崎伸子さん、八塚春名さんたちは今、大学の教員として活躍されています。大学の教員の方々も会員の市川光雄さん、山越言さんをはじめとして、非会員の池野旬さん、岩田明久さん、松田素二さんなどが西宮まで来てくださいました。講師の名前だけを見ると、いったいどこの大学での講義だ?と思える陣容でした。しかし、大事なのは中身で、ほとんどの先生が画像、動画、音楽を提示しながら、あるいは巧みな話術で生徒をアフリカというフィールドに招待してくれました。ふつう、3年生の選択科目といえば、居眠りをしたり英単語を覚えたりする生徒が少なくありませんが、そのような生徒はほとんどいなかったのも、授業の巧みさと教科書にはあまり登場しないアフリカ地域への関心の高さを示すものでしょう。

先日、大石高典さんと話をしていて「ここまでやってきたのだから、きちんと総括をして次の企画に生かしましょう」ということになりました。未知のフィールドであるアフリカへの招待から、社会の課題を共に考えるアフリカの人々との協同の授業へ向けた取り組みをしていきましょう。

《クイズ》10年にわたる「アフリカ先生in 西宮今津高校」で最も多く授業したのは誰でしょう?

《答え》藤本麻里子さんの7回でした。2位は5回の服部さんと八塚さんでした。ところが、不思議なことに代表の岩井さんは、0回です。