ベナンでの長屋経営

ベナンでは、いくつも隣り合った部屋がつらなる長屋は一般的な住宅形式です。私たちのNGOの建物は、手前に髪結いと仕立て屋の2つのアトリエがあり、奥に9つの住居用の部屋がある長屋になっています。その内1つの部屋は、現在職業訓練を行う子どもの内、遠方に住んで通えない子の寝泊りする場所になっています。そして、他の部屋を賃貸住居として貸し出し、その収入をNGOの活動費にしています。長屋の運営は基本的に家賃の収金くらいだろうと当初軽くみていたものの、運営をしてみると実は結構大変なことを実感しました。部屋を借りる人を探し、毎月の家賃の集金をし、設備が壊れれば修理し、借家人間で問題がでれば相談を受け、それを解決し、退去人が出ればその手続きをし…といったことを一手に引き受けるからです。そしてそれぞれの作業にも、手間や時間がかかります。

部屋を借りる人を探すのは、日本のように不動産屋さんが町中にたくさんあるわけではないため、建物の門などに「部屋あります」という文言と、電話番号などをチョークなどで書いておくので一般的です。けれど、それでは中々空き部屋が埋まらないため、不動産エージェンシーに頼むこともあります。不動産エージェンシーは、日本の不動産と管理会社を兼ねたような存在で、借主を探し、その借主から家賃を回収にいくことを引き受ける代わりに、家賃から1割など、一定の額をもらうような役割を負います。そのため、不動産エージェンシーに頼むと、収入が減ってしまいます。そして頼ったからといって、すぐに埋まるわけでもありません。借家人を探すのも、なかなか難しいのです。

家賃の取り立ては、月末に部屋を一つずつまわる形で取り立てますが、外出中で会えなかったり、今月はお金がないと言われたり、時には居留守をつかわれたりと、一筋縄でいきません。する方としても、厄介に思われているのがわかるので、気が重い作業です。公務員など、定期的に収入がある人に入ってもらうと家賃の支払いに問題ないことが多いので、NGO職員としては、できるだけ組織で雇われている人に入ってもらいたいようです。しかしNGOの建物は、トイレは共有で、天井が無く、タイル貼りなども施していない、ごく質素なものです。公務員や会社員など、多少生活に余裕がある人はもう少し設備のよいところに流れてしまい、中々部屋を借りてくれません。かといって、工事現場で短期間働く人などを受け入れると、一度一部屋を10人以上で共有して寝ていたことがあり、共有トイレが混みあったりしたために、他の借家人ともめごとになったりもしました。「次建てるときは、ぜひ水洗トイレ付、床はタイル貼りの個室にしてくれ!」とは現地NGO職員の口癖です。

建物も、最初の建付けから悪かったらしく、割と建物が新しい時から雨漏りがはじまりました。雨季になるとNGO職員は電話が鳴るたびに、借家人から「雨漏りをどうにかしてくれ」という苦情ではないかとビクビクしていたそうです。ただ、この問題は屋根と雨どいを大規模修復してからマシになりました。しかし、水道や井戸の設備など、いつもどこかが壊れては、NGO職員が呼び出されて対応にまわっています。

住人同士の諍いも、頭が痛いできごとです。電気代をどのように頭割りするかなど、金銭が絡む場合は、時には警察に行くことになったりもします。また、ある時には泥棒がはいって、扉が盗まれたり、水道設備の一部が盗まれたりしたことがありました。

NGOの活動の傍ら、とても片手間ではいかない長屋の管理を、一手に引き受けてくれている職員には本当に感謝しています。当初考えていたよりずっと大変な長屋経営ですが、この経営の収益が、少女たちの職業訓練などのNGOの活動費になるので、今後もぼちぼち頑張っていきたいと思います。ロジェさん、今後もよろしくお願いします。

 

雨漏りのする屋根を修繕中

雨漏りのする屋根を修繕中

 

外れてしまった扉を修繕中