少額貸付のその後と継続

 

昨年4月より始めていた、経済的に困窮した状況にいる4人の女性への少額貸付についてお伝えします。結論からいうと、返済期間の延長はありましたが、4人の内3人が完済しました。1人完済できなかったのは、その女性が途中で中東に出稼ぎに行ってしまいコンタクトがとれなくなったからです。返済をする気がないのではないので、彼女が帰って来たり、仕送りがあったりした時に返済すると家族は約束しましたが、先行きは不透明です。家族から無理に取り立てることは考えていませんでしたが、今後は契約内容について見直すことが必要になりそうです。

 一人はそういった状況ですが、残りの3人は無事完済できたことは喜ばしいことといえます。昨年から、コロナ禍の影響や税金の値上げなどが重なり、ベナンは物価がかなり上昇し、庶民は全体として生活苦に喘いでいます。そのため、元々5か月の返済期間を4か月延長し、今年の2月に皆完済しました。以下、彼女たちが貸し付けたお金を何に使ったのか、どのような変化が見られたのかを紹介します。

 

ガンデさん(仮名)は、市場に行き、とうもろこしを売っている小売りの人に声をかけ、そのとうもろこしを歩きながら再販することでわずかな利益を得ていました。しかし、まとまったお金を借りられたことで、直接生産者の元に出向き、仕入れをして、市場で売ることができるようになったため、より多くの利益を得ることができるようになりました。市場でも歩きながら売るのではなく、お金を払い、きちんとした場所を市場に確保して売ることが可能になり、より安定した収入を得ることができるようになったと言います。

 

 ソランさん(仮名)は、貸付を受けた当初は、道端で食事を売り歩こうと思っていたそうですが、鍋や皿などの初期導入費が大きくなりそうなので止め、自分が伝統布を織る機械と技術を持っていたことを思い出したので、そちらの商売にすることにしたそうです。ダッサという少し離れた出身の町に置いていた織機を取り寄せ、糸を買って女性の頭に巻く布スカーフを織り始めました。10,000CFAフラン(約2,000円程度)の糸から24のスカーフを作り、2,500~3,000CFAフラン(約500円~600円)で売っているそうです。頭に乗せて、町で売り歩きます。様々な女性から、この色とデザインで作って欲しいなどの要望をもらうため、オーダーでも製作していると言います。

 

 シャンさん(仮名)は、貸し付けたお金を元手に、安い布を仕入れました。6ヤードの2,500CFAフランの布を15セット、経済首都コトヌ―で購入し、NGOのあるアラダ近隣の町で1セット3,000CFAフランで売り歩いています。薄利ではありますが、安いためすぐに売り切ってしまうことができます。今までで23セット購入し売ることができました。この商売を始めることで、シャンさんは夫だけではなく、地区の人からもこれまでより敬意を払われるようになったと言います。

 

このように、女性たちは自分たちでどの仕事が良いかを見極め、様々な工夫をしながら、利益を上げています。また商売で収益を得ることが、日々の食べることが楽になるだけではなく、周囲の人からも尊重されることとつながっていることもわかりました。

3人の女性たちは自分たちが始めた活動に手ごたえを感じており、支払い完了後、今後の活動を拡大するために、次は金額を上乗せする形で貸付してほしいとNGOに依頼しました。たとえば、最後の例のシャンさんは、より大きい元手があれば、お客さんからもらったもっと高級な布が欲しいとの要望に応えることができるし、コトヌ―でまとめて買えて交通費も浮くので、粗利を増やすことができるといいます。そこでNGOとして、これまでの活動の詳細を確認して必要性と返済可能性に鑑みた上で、この3人の女性たちに増額した80,000CFAフランを貸し出すことにしました。それにより、女性たちの商売がどのように変化し、生活が変わるのか。引き続き、見守っていきたいと思います。