卒業生のアトリエの開設

 

今年1月に卒業した見習い生2人が、仕立屋のアトリエを開きました。私たちNGOはパトロンに支払う見習いの費用と資格試験の受験料を支援してきました。しかし、自らのアトリエを開くには、場所代や内装費、機材費など初期費用の負担が大きいため、ベナンで見習いを終えてすぐに自分のアトリエを持てるのは、親戚や両親、夫からの経済的な支援が受けられる人に限られます。

誰か支援してくれないかと待っている間に、技術や知識レベルが落ちて、とても自分では開設できない状況になることもよくあります。また、妊娠や結婚を機に、子どもを育てるために日銭を稼ぐ必要がでると、技術を生かす仕事よりも、もの売りなどの小商いに流れてしまいがちです。

卒業生には、折角学んだ技術を生かして、パートナーがいてもいなくても、経済的に自立可能な生活を営めるようになってほしいという思いから、私たちは希望する卒業生に対して、アトリエ設立費用の貸付を行うことにしました。

一人あたりへの貸付額は10万CFAフラン(約18,000円)なので、アトリエ設立の全てを賄うことはできません。ただし、ミシンやミシン台、アイロン、椅子など初期に必要な機材は購入できるので、それらを用いてまず仕事を始めることはできます。

卒業生のエミリアンは、自分の村の近くにお姉さんがアトリエを開いていたので、そこに貸付で購入した自分のミシンを運び、商売を始めることにしました。エミリアンはなかなかの腕前のようで、今はお姉さんよりもお客さんがよくついているそうです。

卒業生のユニスにも、貸付を行いました。彼女はおばさんの家のベランダ部分に自分のミシンを設置して仕事を始めました。しかし、ユニスは腕に未熟なところがあり、お客さんからクレームが来てしまったので、他所のパトロンのところにしばらく修行に行くそうです。

見習いが終わったため、これからは腕一本での勝負になってきます。簡単な道のりではないと思いますが、お客さんのたくさんつく仕立屋さんになるために、頑張ってほしいですね。

 

写真:エミリアンのアトリエ。綺麗な服を着ていますが、仕立て屋さん自身が綺麗に装うことは、お客さんを獲得するためのアピールのようです。