2枚の写真(ガーナ)
織田 雪世 おしゃれな女性、にはみえなかった。ネグリジェか肌着のようなものを身にまとい、そのなかの胸は重く垂れて、けだるそうなお腹に続いている。薄めの髪はクリームがかった白色で、一部をまるで思いついたかのように三つ編みに…
NPO法人「アフリック・アフリカ」のホームページです
織田 雪世 おしゃれな女性、にはみえなかった。ネグリジェか肌着のようなものを身にまとい、そのなかの胸は重く垂れて、けだるそうなお腹に続いている。薄めの髪はクリームがかった白色で、一部をまるで思いついたかのように三つ編みに…
藤本 麻里子 「なんであんたはネックレスもピアスも指輪もしないんだい?これは女性の証なのに。」 私にそう尋ねてきたのは、60代後半か70になろうかという、調査中にお世話になっている家の主人のお母さん。名前はワンプーゲ。孫…
黒崎 龍悟 「マテンゴの人は商売が続かない」 タンザニアの南部,ニヤサ湖に近い山岳地帯に住むマテンゴと呼ばれる民族は,他の民族からこのように言われている。 この地域は換金作物のコーヒーを栽培しているので,経済的にはタンザ…
近藤 史 「あなたはこの村に来てよかったわ、ベナは毎日ちがうものを食べるから」。同じタンザニア国内でも乾燥の厳しいドドマ地域で調査している友人の話になると、決まってお母さんが言うセリフだ。私がお世話になっているタンザニア…
目黒 紀夫 ひさしぶりに日本からケニアに行って料理をしようとするときにいつも思うのは、野菜や肉を切ることが日本ほどに楽じゃないということだ。ニンジンやジャガイモだけでなく、トマトやピーマン、それにキャベツだって日本のより…
服部 志帆 カメルーンの熱帯林に暮らす狩猟採集民バカ・ピグミーの草葺きの小さなドーム型住居では、鍋がぐつぐつと音を立てている。森に囲まれたバカ・ピグミーの村には夕闇が迫り、灰色の空には星がまたたき始めている。鍋から出た水…
近藤 史 タンザニアの農村では、砂糖ほどではないけれど、食用油は貴重品だ。ベナ人の村の売店には、1リットルや3リットルのボトル入りの油も並べられているけれど、これを買いにくる客は滅多にいない。誰かにプレゼントする人や、ま…
大門 碧 ちょっとは腰が動かせないとやっていけません、ここウガンダの首都、カンパラでは。 夜になると、あちこちのバーやレストランから音楽が鳴り響く。ステージでは若者たちがアメリカのヒップホップやR&Bに合わせて踊っている…
織田 雪世 教会バンドの演奏が始まった。私たちは立ちあがり、順に正面へ進んで、募金かごにお金を入れていく。流れる音楽は弾み、喜びに満ちている。踊るように身体を動かしながら歩く人、席に戻っても座らず、両手を天に向かって広げ…
戸田 美佳子 2006年10月,カメルーン東南部の熱帯林をはじめて訪れたとき,上腕の逞しい男性が見馴れないハンドルの付いた三輪車に乗り,子供たちと一緒に舗装されていない道路を一気に下っているところに出くわしました。あまり…
安田 章人 カメルーンで、市民の日常的な移動手段といえば、タクシーである。南部に位置する首都ヤウンデには急な坂道が多く、市民は皆、黄色い乗り合いタクシーを日々の足としている。(ただし、最近、中国からの援助で、路線バスの運…
林 耕次 文字どおり草木が生い茂るアフリカの熱帯雨林では、一見したところ森(あるいは二次林)と畑を見分けるのが難しいことがある。さらに、荒れ果てた畑ともなると、その「境界」を見極めるのには、それなりの経験が必要となるので…
丸山 淳子 「明け方、亡くなったよ。」朝起きると、そう告げられた。昨日の昼、娘が痛がっているから鎮痛剤がほしいと、彼女の父親が私に頼みに来ていた。彼女の病気がずいぶん重いものだということも、病院からもらったたくさんの薬を…
安田 章人 もはや、日本人全員がもっていると言っていいほど普及しているもの。携帯電話、いわゆるケータイである。しかし、それは日本に限ったことではない。アフリカ各国においても、携帯電話の利用層は急速に拡大し、一般的になって…
松浦 直毅 「病院の薬では子どもの病気が治らないんだ。君の村の医者を紹介してくれよ。」 私はアフリカ中部のガボン共和国で、熱帯林の狩猟採集民である「ピグミー」とよばれる人々の調査をしている。現在では定住化が進んでいるとは…
目黒 紀夫 ケニア南部の、マサイの人たちのお宅にホームステイしながら調査をはじめた頃、日曜日は私にとって、ちょっと“めんどくさい”曜日だった。なぜなら、日曜礼拝のために教会に行かなければならないから。 教会に来るのは全員…
成澤 徳子 ザンビア南部に暮らすトンガの人びとにとって、乾季は祝いの季節である。終日畑仕事に追われる雨季が明け、どの家の穀倉も主食のトウモロコシでいっぱいとなる6月、村びとの間ではたくさんの行事の予定で話題が持ち切りとな…
丸山 淳子 六月。南半球に位置するカラハリ砂漠では、寒い季節を迎える。狩猟民として知られるブッシュマンも、絵はがきのなかでは、皮のふんどし一枚で原野を闊歩しているが、この季節、そんな格好じゃ、寒くてしかたがない。とりわけ…
黒崎 龍悟 タンザニアでフィールドワークをしていた時の話。 タンザニアの季節というと日本のように四季があるわけではなく、だいたいの地域が雨季と乾季にわかれる。灌漑設備が発達しているわけではないので、農業は天水に依存し、雨…
丸山 淳子 小さな手がのびてきて、「わたしにも、ちょうだい」と声が聞こえた。4歳くらいの少女が、大きな目を見開いて、わたしを見上げている。とたんに、おばあちゃんたちが顔を見合わせ、そして、手をたたいて大喜びした。 わたし…