第97回アフリカ先生報告(兵庫県尼崎小田高等学校、2018年10月31日)

「現代アフリカの光と影」

池邉 智基

兵庫県尼崎小田高等学校の国際探求学科より、当学科3年生に開講された特別講義「21世紀の国際理解」で、「現代アフリカの光と影」というタイトルでアフリカの文化や歴史について紹介してほしいというご依頼を受けました。授業時間2コマ(計90分)の間で、セネガルの都市部や農村の話、日本の開発援助の事例も交えて話してほしいという内容だったので、アフリカ先生として今回の講義を開催しました。

高校の世界史の授業では奴隷貿易くらいしかアフリカに関連した項目を扱うことはなく、テレビなどメディアで発信される情報も限られています。そこで、普段あまり触れることのないアフリカの特徴である多種多様な文化を「光」として、またメディアでよく目にする飢餓や貧困というイメージを「影」として話しました。

まずはセネガルを事例に、さまざまな民族や言語、文化、宗教などがあることを説明し、気候や食事、祭なども雰囲気が伝わるように写真や映像を使って紹介しました。さらに日々発展していく首都ダカールの街、そして街の誰もが持っているスマートフォン、誰もがやっているFacebookとInstagramの使われ方についても紹介しました。生徒のみなさんは、不思議で遠い世界の風景を見ながらも、そこに自分たちにとって身近なものがあることを聞いて笑顔を見せてくれました。

また、メディアで多く語られる「貧困」というイメージ、現地で行われる開発援助について紹介し、開発援助機関の視点と、現地のセネガル人との間に存在する認識が微妙なずれを持つということについて説明しました。また、一見すると貧困な生活を送っているように見えるセネガルのムスリムたちを事例に、喜捨のやりとりや共同体の運営によってどのような相互扶助のもとに生きているのかといった日常的な生活の場面に注目した話をしました。「現代アフリカの光と影」というタイトルどおり、光のように鮮やかに見える部分もあれば、影として浮かび上がる貧困のような問題もあります。しかし、影のように見える部分にも、人びとの文化や生活が維持されている光の側面もあるのではないか、そこを導入として再度アフリカと貧困という問題をどう捉えたらよいのかということを伝えようとしました。

大学受験を控えた3年生たちの反応はよく、講義後に質問もいただきました。授業の打ち合わせや準備にご協力いただいた福田先生、ありがとうございました。

講義の様子

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日本とアフリカに暮らす人びとが、それぞれの生き方や社会のあり方を見直すきっかけをつくるNPO法人「アフリック・アフリカ」です。