第48回アフリカ先生報告(福島大学)

織田雪世

7月5日(月)に福島大学にて、現代教養コースの講義「現代の地域問題 I 」において、キャリア教育関連のゲストスピーカーとして講義をさせていただきました。社会人を含む学生さん約60人を前に、「都市を生きる女性 たち〜ガーナにおける美容ビジネスの展開から」と題して、90分間お話をしました。この講義枠の学生さんたちは、これまで東アフリカを中心に、アフリカの在来農業や、紛争と平和構築、野生動物保護などについて、学ん でこられたとのこと。今回は西アフリカ、しかも都市部ということで、アフリカの新たな側面や魅力を発見し、そこから何かを感じとっていただけたらと考えながら講義をおこないました。

講義の出発点は、一枚の写真です。うずまき状にぐるぐると編まれた髪、そこに何やら熱心に作業をする若い女性の写真から、「いま、アフリカの都市では何が起きているか?」「そのなかで人びとは、どのように生活を支 え、人生を「開こう」としているか?」という問いを投げかけました。そこから、西アフリカの歴史的・地理的特性、都市部におけるパーマの導入とそこから女性や美容師におきた変化、そこから派生してきた状況変化など を、グローバリゼーションとBoP (Base of Pyramid)、都市女性をとりまく現代的状況とそこで人生を切り拓こうとする姿、といった側面から紐といていきました。

髪型という身近な話題のためか、学生さんたちは、総じて興味をもって聞いてくださったようです。会場からは、「パーマはアフリカの他の地域でも広がっているのですか?」「美容師の仕事をつうじて、女性の地位にはど んな変化がありましたか?」「男性の美容師はいないのですか?」など、大切な視点をふくむ質問が投げかけられました。また、講義後には「ガーナの美容ビジネスのレベルの高さと女性のキャリアに驚いた」「異なる社会 的背景や状況における地域で、どれだけ自分たちを生かそうとするのかが大切だと思った」など、多くの感想をいただきました。

世界のさまざまな動きと関わりながら、動き続けるアフリカ、そして、その変化の最前線としての都市。その状況を、私たちはどう理解し、そして自らつながっていくことができるのでしょうか。現代の複雑な状況をそのま まにとらえること、そして、その状況を生きる人びとの力や試みを、そのまま丁寧にとらえていくこと。そこから、皆さん1人1人が、自分なりの「答え」を導いてくださっていればと思います。

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日本とアフリカに暮らす人びとが、それぞれの生き方や社会のあり方を見直すきっかけをつくるNPO法人「アフリック・アフリカ」です。