バナナとヒトの関係史: バナナからみる文化の多様性

丸尾 聡

はじめに

講座の2回目となったこの授業では、アフリカの自然そのものというよりも、「バナ ナ」というひとつのモノを題材にして、人間がどのように自然との関係を築いてきた かという話しをしました。資料としてA4で2枚分のレジュメを用意し、レジュメに沿 いながら、パワーポイントで写真を適宜見せるというカタチで進めました。

バナナとは

授業ではまず、バナナにまつわるクイズを数問してみました。身近で誰でも知ってい るバナナですが、日本人にはおもに輸入されるフルーツとしてしか馴染みがないとい うところで、用意した質問に生徒たちも意外というような反応を示してくれました。 その後、あらためてバナナについて植物・作物としての特徴や歴史的な話しをし、さ らにバナナとヒトとの古い関わりについて東南アジアの伝説を例に出しながら紹介し ました。 バナナにはたくさんの種類があるということすら、あまりぴんと来ない生徒もいたよ うでしたが、ここで事前に用意していた実物のバナナ5種類ほど(すべて日本で入手 可能なもので、1種類が料理用バナナで他は生食用の甘いバナナ)を紹介し、実際に 配って、食べたい人には試食してもらいました。それまで比較的静かだった教室がこ れでざわつくこととなりましたが、生徒には興味深かったようです。またこの時間 に、タンザニアのフィールド写真のアルバムも回覧してもらいました。

アフリカのバナナとその農業

ここから、本論としてアフリカのバナナやその農業について話をしました。まず、バ ナナには主食となる種類があること、さらにアフリカでは主食のバナナ(東アフリ カ)や、これとは異なるプランテン(中部および西アフリカ)と呼ばれる料理用バナ ナが栽培されていることに触れました。また、アフリカにおけるバナナ栽培の形態に ついても、熱帯林地帯での焼畑と高地帯でのホーム・ガーデン型農耕とに大きく分け ることができる点を紹介し、さらにはそれらといわゆるプランテーション型栽培との 違いについても簡単に説明しました。

タンザニア北西部・ハヤの人びととバナナのつながり

ここでわたしが調査研究をおこなっているタンザニアの自然やバナナの分布などを簡 単に説明し、その北西部に居住しているハヤの人びとがどのようにバナナとつきあっ てきたかを古い歴史を辿りながら紹介していきました。そして、ハヤの人びとが多様 な栽培品種を保持し、生活のなかでバナナを物質的にも積極的に利用し、さまざまな 栽培管理の技術を実践していることなどを写真を用いて紹介していきました。

まとめ

最後は時間切れ(チャイムが鳴るまで喋ってしまいました・・)となりましたが、整 然と土地や作物を管理する(単作)よりも、アフリカではいろいろな作物をごちゃご ちゃした感じで育てる(混作)ほうが重視されており、それが地域ごとに特色のある 「自然-ヒト関係」を生みだしてきたベースにあるということを喋って授業を終えました。

ABOUTこの記事をかいた人

日本とアフリカに暮らす人びとが、それぞれの生き方や社会のあり方を見直すきっかけをつくるNPO法人「アフリック・アフリカ」です。