『アフリカ社会を学ぶ人のために』 松田素二=編

紹介:岩井 雪乃

本書の執筆を、編者の松田さんから依頼されたときに言われたことは、「高校生にわかるアフリカ社会の紹介を書いてください」だった。松田さんが、アフリカのことをより多くの人に理解してほしい、そのためにわかりやすい本にしたい、という思いが強く伝わってきた。「この本は、アフリック・アフリカが目指す方向と同じだ」とピンときた。

その目的どおり、本書はたいへん読みやすく、とっつきやすい多面的なアフリカ入門書となっている。カバーされているトピックは魅力的なものばかりで、ポピュラーアート、ケータイ革命、結婚など生活に身近な話題から、政治、経済、紛争など俯瞰的なものまである。また、時間軸も幅広く、人類の誕生から奴隷貿易を経て現在を分析した上で、未来を展望する内容となっている。

本書のキーワードは、「アフリカの潜在力」と「アフリカから学ぶ」である。私を含めた14人の筆者は全員が、アフリカの人びとが困難に直面しながらもそれを切り拓いてくのを目の当たりにしてきた経験をもつ。アフリカの人びとのその力強い思考と実践は、わたしたち日本社会が感じている閉塞感に、重要なヒントを与えてくれるものだと確信している。

その「アフリカの潜在力」を端的にまとめると、流動性・多様性・ブリコラージュ性、ということになる。ぜひ本書を手にとって、その具体的な内容を学びとっていただきたい。

目次

序 アフリカの潜在力に学ぶ
第1部 多様性を学ぶ
第2部 過去を学ぶ
第3部 同時代性を学ぶ
第4部 困難を学ぶ
第5部 希望を学ぶ

書誌情報

出版社:世界思想社
定価:2,300円(税別)
発行:2014年 3月
世界思想社の本書のサイトhttp://www.sekaishisosha.co.jp/cgi-bin/search.cgi?mode=display&code=1616