アフリカは野生動物の宝庫というイメージがある。著者は、アフリカの野生動物保護に関する研究をはじめて<夢に描いていたアフリカの大自然の光景と現実との落差に衝撃を受け><十数年を経て、この落差こそが、アフリカの野生動物保護の現状と問題の本質を示唆していたのでは>と、認識も新たに、野生動物問題を「地域環境問題」として捉え直す。本書は、アフリカにおける野生動物保護の現状から、野生動物を介した人と人との関係のあり方を提示したものだ。著者は体験をもとに、アフリカの野生動物保護の変遷を「地域住民が関与する保全アプローチ」が台頭するまでの時代区分で描き出す。保護とはいえ国家による土地の囲い込みが、人と土地の分断や、人と野生動物のかかわりを希薄化させている問題、農作物被害、地域住民間の敵対関係など、保護をめぐる「抵抗と協働」の歴史・現実・展望を説く。(『出版ニュース』(2009.4下)出版ニュース社 32pより引用)
『抵抗と協働の野生動物保護—アフリカのワイルドライフ・マネージメントの現場から』 西崎伸子=著
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