『体験取材!世界の国ぐに−42 カメルーン』 渡辺一夫=文・写真、亀井伸孝=監修

紹介:服部 志帆

この本は、カメルーンという国を平易な言葉使いでわかりやすく紹介した初めての本である。まず、カメルーンの地理や自然環境について説明がなされ、そのあと、町の暮らし、村の暮らし、海辺の暮らし、子供たちの暮らしなど人々の生活が紹介される。そして最後に、宗教と儀礼の説明があり、本は幕を閉じる。

この本の魅力は、現地の様子を伝えるよりすぐりの写真といたるところで顔をのぞかせるカメルーンの人々の生活についての楽しい描写である。カメルーンという国には、砂漠から熱帯雨林という多様な自然があり、おおよそ250以上の民族が暮らしている。地域や民族によって人々の生活や文化はさまざまであり、それがカメルーンという国の豊かさを作り出しているといえる。カメルーンで研究をしている私でも、カメルーンについて説明するとき、ついついおおざっぱに「カメルーンでは」「カメルーン人は」と言ってしまうことがあるが、いつ誰に対して説明するときでも単純化はダメだと思わせるような迫力がこの本には隠れている。カメルーンの持つ自然や人々の多様性を、すっと垣間見せてくれるのがこの本だろう。

ポプラ社の体験取材シリーズが、アフリカのなかでもカメルーンにターゲットをしぼってやってきてくれたことは、カメルーンの魅力にとりつかれ何度も足を運んできた研究者としてうれしいことだ。カメルーンはぜひ皆さんに知っていただきたいユニークな国なのだから。ぜひ子供たちと一緒にこの本を開いて、まずは遥かかなたカメルーンという国に思いをはせていただきたい。そして何か心魅かれるものがあったのなら、いつか足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。