『森と人の共存への挑戦−カメルーンの熱帯雨林保護と狩猟採集民の生活・文化の両立に関する研究』服部志帆=著

紹介:服部 志帆

現在、アフリカ熱帯雨林に暮らす森の民ピグミーはこれまでに経験したことのないグローバリゼーションの荒波にもまれて伝統的な生活や文化を大きく変容させようとしている。本書は、カメルーンに暮らす狩猟採集民バカ(ピグミーの一集団)を対象に約2年半にわたって行ったフィールドワークをもとに、バカが直面している資本主義経済や自然保護という問題を論じたものである。とくに、外部社会との関係によって変化してきた生活、豊富かつ詳細な動植物に関する知識について明らかにし、この地域で森林とともにバカの生活と文化が維持されていく条件を考えた。

グローバリゼーションのもとで地域社会に暮らす人々がどのように新しい変化に対応しているのか。この大きなテーマに対して私は、森の民の住居、食事、持ち物、交易など日常生活や動植物に関する知識の細部にとことん目を向けることによって取り組んだ。「神は細部に宿りたまう」のである。細部が全体とうまくかみ合わさっているかどうかは、読者に聞かねばわからないが、私が自信を持っていえるのは、本書はフィールドで拾い集めたバカについての断片を風呂敷に包んで持ち帰りひとつひとつ丁寧に取り出して並べたコレクションでもあるということである。本書の詳細さについて感想を述べた人はいまだ一人しかいないが、細部に共感を示してくれる人がいつか現れるのを期待したい。

目次

  • はじめに
  • 第1章 森林保護プロジェクトとバカの反応
  • 第2章 バカの生活変容と外部社会との関係
  • 第3章 動植物関するバカの知識
  • 第4章 バカの植物知識の個人差と知識の習得
  • 第5章 結論

書籍情報

出版社:松香堂書店
定価:2,200円+税
発行:2012年 3月
B5変形判/259頁
ISBN-10: 4879746584
ISBN-13: 978-4879746580