第61回アフリカ先生報告 (東京・神楽坂トライブス) 「チャリティ★ナイト 〜食べて知るアフリカ;タンザニア・ザンジバルの呪術的世界 〜夜の交差点で、誰にも見られずに生卵を割れ!〜」(2011年8月9日)

井上真悠子

神楽坂Tribesでおこなわれたチャリティ・イベント(主催:トライブス 共催:緑のサヘル、(特活)ハンガー・フリー・ワールド)にて、タンザニア・ザンジバルの呪術に関するお話をしてきました。

イベントには28名の方々にご参加いただきました!

当日は二部構成で、第一部では「呪術」についての概略や、イスラーム教徒が住民の90%以上を占めているザンジバルにおける呪術のありかたについて簡単に説明しました。第二部では、具体的にどのような案件が呪術師のもとに持ち込まれ、どのような治療儀礼がおこなわれているのか、いくつか実際の事例をあげて説明しました。そして、治療儀礼をおこなったからといって必ずしも願い事が叶うわけではないけれど、結果的に呪術は依頼者の「心を慰める」ものとして機能していること、また、呪術がザンジバルのイスラーム社会に現在も静かに深く息づいていることを解説しました。

参加者の方からは、治療儀礼の効能や利用プロセスが、現代日本のカウンセリングと非常に似ているといったご感想をいただきました。呪術を利用する根底にはまず人間の感情があり、どうしたらいいのかわからない悩みや不安を解決する「ケア」のひとつとして呪術があるということを私自身も改めて感じました。また、「呪」という語感から不可解で怖いイメージを持たれがちなアフリカの呪術が、恋愛や人生など私たちも十分に共感できるような悩みごとのために利用されている、意外に身近なものだということも知っていただけたかと思います。

トークの合間には、デーツ(ナツメヤシ)やピラウなど美味しいタンザニア料理を食べながら、髪結いやご飯作りなど現地の日常生活の様子を撮影した映像を上映しました。また、何名かの希望者にはザンジバルのイスラーム女性の衣装である「ブイブイ」を着ていただきました。「初めて着ました!」「こういうつくりになっていたんですね・・・」と、びっくりしながら試着し、皆さま楽しそうに記念写真を撮っておられました!

ザンジバルのイスラーム女性服「ブイブイ」

不可解で怖いイメージをもたれがちな呪術が、実際どんな人たちによって、どんな悩みのもとにどういうプロセスを経て利用されているのかを知っていただくことで、呪術を利用しているザンジバルの人たちの、非常に人間らしい心の機微を肌で感じていただけたのではないかなと思います。

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日本とアフリカに暮らす人びとが、それぞれの生き方や社会のあり方を見直すきっかけをつくるNPO法人「アフリック・アフリカ」です。