第55回アフリカ先生「いまづ環境学公開講座」(兵庫県立西宮今津高校)報告

「人類の進化とアフリカ」 (2010年2010年11月4日「生物Ⅰ」)

山越 言

今年も兵庫県立西宮今津高校において、人類進化の舞台としてのアフリカについて講義を行いました。最初に概要として、巨大な大陸であるが人口は意外に少ないこと、さまざまな理由からサハラ以北と以南に分けられること、大陸内には砂漠から熱帯雨林まで多様な環境が存在すること、多様な環境に応じて、そこに住む人々の生業もまた多様であることなどをお話ししました。

次に、人類の進化700万年の経過を過去から現在に向けて説明しました。ヒトの進化の出発点は、チンパンジー・ボノボとの共通祖先から枝分かれした約700万年前であり、その場所はアフリカであったこと、その後、約200万年前に初めてヒトの祖先がアフリカを飛び出し、ユーラシアに分布を広げたこと、同様の「アウト・オブ・アフリカ」がその後何度も繰り返し、私たちの直接の祖先が最後にアフリカを旅立ったのがわずか5-10万年前と考えられていることを紹介しました。つまりは、長い人類史の中でアフリカは、最後の 5万年をのぞけば常に「先進国」であったといえるわけです。

また、上記の人類進化史を現在からさかのぼってみれば、私たちから「わずか」2000世代さかのぼるだけで、最後の重要な「アウト・オブ・アフリカ」にまでたどり着きます。私たちは(また、現在世界中に住むすべての人たちは)、5万年前はアフリカに住むアフリカ人だったというわけです。

日頃ふれることの少ないアフリカについて、なんだかちょっとおもしろそうだな、という印象を持ってもらえたとしたら幸いです。