第52回アフリカ先生報告(ボツワナJICAボランティア)

丸山 淳子

ボツワナでJICAのボランティアとして活躍されている方々からのご依頼で、同国のセントラル・カラハリ地域に暮らすブッシュマンの歴史と現状についてスライドを交えてお話しする機会を得た。金曜の夜に、ビールを片手に気楽な集い、のつもりだったが、思いのほか、ボツワナに暮らす日本人の方々が20人以上も集まって、熱心に耳を傾けてくださった。

「ブッシュマンと暮らす、ブッシュマンに学ぶ」と題して、ブッシュマンの歴史や言語、ボツワナのなかでの社会的位置づけ、また私自身のフィールドワークについて簡単に説明した後に、写真を50枚ほど順番に見せながら、現代のブッシュマンの暮らしについて話を進めた。狩猟採集や家畜飼養、農業などの生業活動のほか、家屋や居住形態、出産や育児、また分配や助け合いといった社会関係など、彼らの日常生活のさまざまな側面について、私自身の経験なども交えながら紹介した。さらに、今回は、約30年前に、おなじセントラル・カラハリ地域のブッシュマンを取材されたディレクターさんが、再びボツワナに赴任されているという幸運が重なり、ご協力を得て、当時の様子についてのお話も交えながら、映像を上映していただくこともできた。

聴衆の皆さんは、ボツワナの社会状況や各地の様子についてすでによくご存知なので、具体的な質問やコメントが数多く飛び交い、私としても勉強になることが多かった。ボツワナでもっとも辺鄙なカラハリ砂漠で、少数民族のブッシュマンと過ごしてきた私は、実は、この国の大半の人びとや地域については知らないことのほうが多い。国内のさまざまな地域で、それぞれに異なる専門をもって活躍されている方々からお話を聞かせてもらい、いろいろなボツワナの姿を教えていただいたことも、私にとっては有意義であった。

現在、ボツワナに暮らす日本人は、50人前後と少ないが、それでも近年、少しずつ増えてきている。今回は、私にとって初めての試みだったが、今後ともこのような機会を積極的につくり、そのなかでお互いに新しい視点を得たり、なんらかのコラボレーションの可能性なども生み出していくことができれば、と思っている。