第55回アフリカ先生「いまづ環境学公開講座」(兵庫県立西宮今津高校)報告

「東アフリカの万能布・カンガ −その使い方と特徴−」 (2010年11月4日 「服飾文化」)

藤本 麻里子

西宮今津高校ではこれまでもいくつかの授業でアフリカ先生を実施させていただいていますが、今年は新たに『服飾文化』という科目でもアフリカ先生にお招きいただきました。服飾文化ということで、私が調査している東アフリカのタンザニアやその周辺国で利用されているカンガと呼ばれる2枚一組の布について、その使い方や特徴についてお話してきました。カンガの使い方は、腰巻にしたり、上半身に巻いたり、イスラム教徒の女性たちがスカーフとして頭に巻いたり、赤ちゃんをおんぶする抱っこ紐の役目を果たしたり、実に多種多様で、本当に万能布と呼ぶにふさわしいと言えます。

カンガをまとう女性たち
 

また、カンガには必ずカンガセイイングと呼ばれる、スワヒリ語の一言メッセージが書かれています。カンガセイイングには、恋愛に関する言葉、神様に関する言葉、諺や人生哲学的なものまで様々です。そこで、実物のカンガを持参し、一つ一つカンガセイイングの解説をしました。また、アメリカ大統領のバラク・オバマ氏や、2009年に急逝したマイケル・ジャクソンさんの顔がプリントされたカンガもあり、実際に手にとって見てもらうと多くの生徒さんに喜んでいただけました。

また、実際にカンガをどのように使っているのかを、西宮今津高校の被服教室に置いてあるトルソーを使って実際に巻いてみたり、写真や映像を紹介したりしました。カンガ以外にもキテンゲと呼ばれるちょっと高級な布が東アフリカで利用されていることを紹介し、村の仕立屋さんがどのように布からスカートなどを作っているかを、写真や実物を見てもらいながら解説しました。最後に、村の女性たちがカンガやキテンゲで着飾った結婚式の様子をビデオで見てもらいました。別の日に実施された服飾文化のアフリカ先生では、西アフリカの衣装について紹介されたので、今回は東アフリカの布についてお話しました。生徒さんたちにはアフリカの多様な服飾文化の一端に触れてもらえたのではないかと思っています。