写真展&体験型ワークショップ「Africaいろどり館」 『京都大学総合博物館学術映像博2009』(2009年8月5日〜12月10日)

八塚 春名ほか

2009年8月から京都大学総合博物館において、「Africaいろどり館:映像と五感で感じるアフリカ!」を開催しました。アフリックが担当した4つの特集イベントについてご報告します。

*本イベントの実施にあたり、京都府国際センターの平成21年度(上半期)国際活動団体支援育成事業からご支援いただきました。ここに記し、深く感謝申し上げます。

展示の様子

Africa食べ物

報告:市川光雄

今回のアフリック企画トーク・セッションのトップをきって、8月12日14時から「アフリカの食文化」と題するトークが開催されました。実は、私は本会の新米ペエペエで、来年3月の定年を控えて、何か「意味のあること」をしたいと考えている矢先、進められるままにアフリックに入会したのですが、入会早々に大役を仰せつかってとても光栄でした。

アフリカといえば、「飢餓」とか「干魃」、「内戦」といったように、負のイメージばかりが伝えられがちですが、今回は、アフリカの人びとがいかに多様なものを、多様な方法で料理しているか、アフリカの豊かな食文化についてたくさんのスライドを使って紹介することに重点をおきました。日本でもよく知られているタンザニアのピラウや、セネガルのチェブジェンなどの米料理などはいうまでもなく、プランテン・バナナやヤマノイモをたたきつぶしたダンゴ、つぶしたキャッサバを香りのよい葉で包んで蒸した「ちまき」、トウジンビエやシコクビエの団子状のカタガユなどは、はじめて食べる人でもおもわず「うまい!」と唸ってしまうほどです。また、半砂漠に住む牧畜民による家畜の血の利用や、森林地帯の昆虫食、狩猟採集民のさまざまな野生動物利用なども、アフリカならではのもので、これらの味を実際にお伝えできないのがとても残念でした。

夏休み中であったにもかかわらず、若い人の参加が多くなかったのが少し残念でしたが、「カスピ海ヨーグルト」で有名な家森先生がいらしていて、最前列で熱心に質問をされていました。

なお、今回使った写真は、「こころの未来研究センター」研究員で、会員の大石孝典氏が会員から集めて準備してくださったものです。厚く御礼を申し上げあげます。

アフリカのおいしい食べ物がずらり。

Africaファッション

報告:八塚春名

アフリカのファッションといえば、カラフルな服とユニークな髪型。そのイメージにお応えするように、「タンザニア、色とりどりな布の魅力」、「ガーナ、鮮やかな髪のおしゃれ」と題し、カラフルな布と、個性豊かなアフリカ女性の髪型について、映像と写真を用いてご紹介しました。講演終了後には、会員や友人たちから集めた、8カ国、25着の衣装と、たくさんの布を使って、アフリカンファッションショーを行いました。それぞれの服の鮮やかな色やユニークな機能、その服に込められた思い出などを持ち主がたっぷり紹介しました。また、在京のエチオピアとカメルーンからの留学生とそのご家族にも参加してもらいましたが、かれらのとっても素敵な姿に、会場からは感嘆の声も上がっていました。「服」と一口に言っても、地域が変われば服もがらりと変わります。ファッションを切り口に、アフリカの多様な魅力に興味を持っていただけたなら、幸いです。

イスラム教女性の服(右、タンザニア)と、鮮やかな色のサリー(左、マリ)。

ショー参加者の記念撮影

Africaアート(1)+(2)

報告:井上真悠子

アート(1)では、私たちにとっても身近な「観光みやげとしてのアート商品」を題材に、タンザニアのザンジバル島の絵描きさんたちの制作現場での仕事ぶりや身体技法、消費者である観光客との付き合いかたなどを、映像を使って説明しました。そしてアート(2)では、日本在住タンザニア人画家のマイケル・レヘム氏を講師に招いて、タンザニアの絵画である「ティンガティンガ」のお絵描き体験教室をおこないました。このワークショップでは小学生から中高年まで幅広い年代層の方々にご参加いただきましたが、みなさん各自でイメージをふくらませ、とても上手にティンガティンガを描いておられました。参加者の方々からは、「配色を考えるのや細い線を描くのが意外と難しい」「とても面白くて、はまりそう」といった感想をいただきました。

アート(1)(2)を通して、映像や参加者自身の身体を使ってアフリカの「ものづくり」を感じていただけたかと思います。これを機に、完成したモノを見るだけでなく、アフリカでそれらのモノを作っている人たちや、彼らが暮らす社会にも興味を持ってもらえれば嬉しいです。

Africa歌と踊り

報告:服部志帆

世界中どこを探しても、音楽を愛さない人を見つけるのは難しいだろうが、アフリカの人々はとりわけ音楽が好きなように思う。アフリカでは歌と踊りはセットになっていることが多く、どのような都会であってもどのような田舎であっても、思わず体を揺らしてしまうようなリズミカルな音楽が人気である。歌と踊りはもともと一心同体だったのではないだろうか、そんな風に思えてくるのがアフリカの音楽である。イベントでは、3つの異なる地域で研究を行っているアフリックの会員が現地の音楽映像を流しながら紹介した。ひとつ目は「ウガンダ都市の盛り場エンターテイメント」、ふたつ目は「タンザニアのポップス、ボンゴ・フレーバー」、みっつ目は「カメルーン歌と踊りの民バカ・ピグミー」。盛り場のエンターテイメントに自ら出演する会員や、結婚式を現地で行い歌と踊りのお祝いを受ける会員の様子は、会場の皆さんにどのようにうつったのだろう。皆さんは、真剣な眼差しで映像を見つめ、話に聞き入ってくださっていた。最後は、西アフリカの太鼓ジェンベのミニコンサート。博物館にアフリカの音が勢いよく響き渡り、引き込まれるように人が集まってくださった/<会場の皆さんは、迫力ある演奏に圧倒されているようだった。アフリカの命のリズムが少しでも届いたのなら、大成功である。楽しい企画でした。

西アフリカの太鼓ジェンベのミニコンサート1

西アフリカの太鼓ジェンベのミニコンサート2

ABOUTこの記事をかいた人

日本とアフリカに暮らす人びとが、それぞれの生き方や社会のあり方を見直すきっかけをつくるNPO法人「アフリック・アフリカ」です。