農民が副県知事にゾウ被害問題を訴える集会を新聞が取材!(2018年10月)

岩井 雪乃

セレプロは、アフリカゾウによる農作物被害を軽減するために、村びとによるゾウ追い払い活動を支援しています。8月は、学生10名を岩井ともう一人の教員で引率して、実習科目として活動地に行きました。そして、活動の一部が現地の新聞に載りました!

スワヒリ語新聞Mwananchi 2018年08月18日付

「伝統文化:マラ州セレンゲティ県ミセケ村にて、チャウシク・カトホは日本の早稲田大学の学生に弓矢の射的を教えた。」

あれ?農民がゾウ問題を訴える記事ではない? そうなのです・・・私たちの目論みはうまくいきませんでした。

この日は、セレンゲティ県副県知事、野生動物オフィサーといった役人を招待して集会を開き、村の人たちがゾウ被害問題を県政府に訴える機会を作りました。ゾウ被害に遭っている近隣の村からも代表者を招いて、人びとの怒りと悲痛な叫びを、役人に直接聴いてもらう!という作戦でした。そして、それを都市部のタンザニア人にも広く知ってもらえるよう、記事にしてもらおうと、新聞記者をこちらでお金を払って招待しました。

円の中央で撮影しているのが新聞記者

 

セレンゲティ県副県知事(中央)

しかし、実際に記事になったのは、前座で開催した伝統文化体験の弓矢大会の部分のみ・・・ゾウ問題の記事は、政府批判になるので避けられてしまったようです。当たり障りのない「外国人が伝統文化を学んだ」という記事になってしまいました。メディアに取り上げてもらいやすいように、日本人がいることを活用する作戦だったのに、うまくいかなかったです。メディアに取り上げてもらうのは難しいですね・・・

それでも、「県の役人に村びとの声を届ける!」という第一目標は達成できました。役人からすると、住民から突き上げられて怒号が飛び交う辛い集会なのですが、それを承知で参加してくれました。これは、日本人が来ているからこその成果です。いなかったら、わざわざ役人たちは村まで来ません。地域の深刻な問題となっているゾウ被害に対して、県政府も苦慮している姿勢を外国人に見せようとしたのです。そして、私たちの狙いどおり、村びとは怒りの声を直接役人に訴えることができました。この点では、日本人がいることを活用した作戦が成功しました!これからもタンザニアでも日本でも、問題を伝えるべく、がんばっていきます!

ABOUTこの記事をかいた人

日本とアフリカに暮らす人びとが、それぞれの生き方や社会のあり方を見直すきっかけをつくるNPO法人「アフリック・アフリカ」です。