第23回アフリカ先生報告

近藤 史

2007年10月15日、東京都多摩市にある恵泉女学園大学国際社会学科の谷本寿男先生にお招きいただいて、アフリカ先生をおこなってきた。2時限目は学部の講義「国際関係論特講」、3時限目は大学院のゼミナール「公的援助論」の場をお借りしてお話しした。

2時限目 国際関係論特講
「アフリカ楽 No.3: タンザニア・ベナの人びとに学ぶ多様な農業」

恵泉女学園大学では、アフリカの様々な問題について現場をよく知る人たちから学ぶことを目的とした、「アフリカ楽」という企画が断続的におこなわれている。今回のアフリカ先生はその企画の第3回目にあたる。普段から国際関係論特講を受講している学部3,4年生を中心に、その他の学部生・大学院生・教職員をあわせて約50名の参加があった。

講義では、アフリカ農業の発展を考える時に、地域に暮らす人びとの生活に密着した試行錯誤や、その成功例に着目していくことによって、従来の西洋近代農業をモデルとする単線的な発展論にかわる、アフリカに固有の発展のあり方を見いだしうることを伝えた。具体的な成功事例のひとつとして、タンザニア南部に住むベナの人びとが、在来の焼畑耕作を基盤として外来樹モリシマアカシアや近代的な育林技術を取り入れながら、新たに「造林焼畑」の農法を創出し、それによって、近年の社会経済的な変動に対応しうる独自の体制をつくりあげてきたことを紹介した。

3時限目 公的援助論
「アフリカにおけるフィールドワーク経験とNPOアフリックの活動」

公的援助論を受講している大学院生10名の参加があった。このゼミナールでは、アフリカにおけるフィールドワークの経験や研究活動をふまえて私自身がNPOアフリック・アフリカの立ち上げに参加した理由、および、アフリックのこれまでの活動や最近の活動の広がりとそれらの企画運営体制について紹介した。

女子大でのゼミナールということで、フィールドワークや研究活動に従事した経験をもつ女性が、研究活動を続けるだけでなく、企業への就職や結婚によって研究とは離れた生活を送るなど、さまざまな立場になったときに、それぞれのもつ時間と技術をいかして自らの経験を社会へ還元していく方法のひとつとして、NPOアフリックを活用し、またそれがアフリックの活動を支え、奥深いものにしている実態を伝えた。