アフリック共催イベント、カメルーンの森の民メッセ・ベナンさんの講演会開催!(2010年10月24日)

服部 志帆


「バカ族のかかえる問題をかたるメッセさん」
 

メッセさんはカメルーンの熱帯雨林に暮らす狩猟採集民バカ族出身。名古屋で開かれているCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)に出席するために来日されました。COP10では、カメルーンで伐採事業や新しく始まった自然保護の影響を受けて、バカ族の生活や文化が破壊されつつあることや、彼らのような伝統社会に暮らす人々の生活や文化を尊重することの重要性についてスピーチされました。会議の後、京都大学の中部アフリカ研究者のサポートを受けて京都に来られ、10月24日に講演会を行われました。

アフリックは中部アフリカ研究者が主催するこの講演会に共催団体としてかかわりました。ほかにも共催団体として、メッセさんが代表のローカルNGO・OKANI(バカ語で「さあ、行こう」という意味)やアフリカ地域研究資料センターが関わっています。メッセさんはこの日、”La culture baka face a la mondialisation et ses aspects: quel avenir? (グローバル化に直面するバカ族の文化、その未来は?)”と題した講演を行われました。

メッセさんは、これまでバカ族が、森の恵みをみなで分かち合いながら、森や人と平和に共存してきたこと、森は食べ物や道具類、薬の材料などバカ族にとって必要なものを提供してくれるスーパーマーケットのようなものであることをまず述べられました。また、いま伐採事業や自然保護プロジェクト(国立公園を作ってそこに暮らすバカ族を追い出したり、狩猟活動を禁止するもの)によって、森とともにあったバカ族の生活や文化が危機にされていること、バカ族が外側の社会に対して交渉能力をつけ自分たちの生活や文化を守っていかなくてはならないことを強調されました。そして最後に、中部アフリカ究者や参加した人々に、支援を求められました。アフリックでは、バカ族の生活や文化、そして森を守るプロジェクトを、現在準備中です。

講演会の後、メッセさんは26日に大阪にある民族博物館を訪れられ、アマゾンなど森で暮らす人々の文化やアフリカの文化の展示、近年盛り上がりを見せている先住民運動のパネルに見入られていました。27日は京都市立もえぎ幼稚園や京都市立新町小学校を見学し、日本文化や自然、地域の人たちとの関わりに力を入れている京都の学校教育について学ばれました。同日、京都市の市長さんを表敬訪問され、京都の感想や京都市の教育について意見を交換され、将来バカ族の子どもたちと京都市の子どもたちの交流させたいという、夢を語られました。

「アフリカのいま、先住民運動についてみんぱくの池谷先生から説明を受けるメッセさん」

 

「京都市立新町小学校の子どもたちと」