アフリカゾウとの共存に向けて
タンザニアのセレンゲティ国立公園に隣接する地域では、公園から出てくるアフリカゾウによる農作物に農民は苦しんでいます。この地域の農民たちは、ゾウを神とあがめて大切にしてきました。しかし、近年では自分たちの生活を脅かすので、ゾウと共存するのは困難になっています。
そこで、アフリカゾウと共存できるように、農民による被害対策を支援するのがハッピーハニーチャレンジです。
ハッピーハニーチャレンジとは?
ゾウはミツバチの羽音を嫌がるといわれています。ミツバチの羽音をきくとあわてて逃げだし、さらにその時にゴロゴロと鳴きながら、他のゾウたちにもミツバチがいることを伝える習性があるそうです。
これを応用して、畑の周りに養蜂箱をつるしてハチを飼ってゾウを追払うのです。うまくいけば、ハチミツから収入を得ることもできるという、一石二鳥の対策です。
2012年ロムチャンガ村ニャセローリ地区で導入
試験的に100個の養蜂箱を設置したところ、畑にやってきたゾウが保護区に逃げ帰った例が観察されました。農民たちは、効果がありそうだと期待を高めています。
2013年はミセケ村に拡大する計画
今年は、さらに100個を、となりのミセケ村にも設置する計画です。
となりのミセケ村は、収穫期である今年の5月にゾウが数十頭入りこんできて、村人が懐中電灯で照らしたり、金属音を出したり、人の声で騒いだりして追い払おうとしても、まったく動じず、日中も畑に居座りました。そして、あげくには、2頭のメスゾウが出産までして、夕方になってようやく保護区に帰ったそうです。
ミセケ村の人びとからは、「ロムチャンガ村がミツバチでゾウを追い払ったから、ミセケ村にこんなにゾウが来てしまったんだ!」と言われてしまいました。
それが科学的に事実かどうかはわかりませんが、被害に遭っている村の苦しさはどこも同じです。今年度は、ミセケ村にも設置を進めていきます。
ミセケ村への設置活動は、「W-BRIDGE助成金」の支援を受けています
どれだけの養蜂箱が必要か?
将来的には、万里の長城のように、保護区のまわりに養蜂箱フェンスがつながって設置されれば、ゾウが入ってこなくなるでしょうか?しかし、その長さはいったい何十必要なのでしょう?セレンゲティ県だけでも、保護区に接する地域は100以上になります。養蜂箱は、10mの間隔で設置するので、100個の養蜂箱でようやく1です。100をカバーするには10000個の養蜂箱が必要という計算です。気が遠くなりそうですね・・・
そして、そんなに巣箱を設置して、ミツバチが巣をつくってくれるのかも未知数です。
このように「ハッピーハニーですべて解決!」という訳にはいかないとは思っています。それでも、農民のみなさんの不眠不休の追払い作業を、少しでも軽減できればと思っています。
このように「ハッピーハニーですべて解決!」という訳にはいかないとは思っています。それでも、農民のみなさんの不眠不休の追払い作業を、少しでも軽減できればと思っています。