「シロアリは悪い虫?〜アフリカ・ケニアの昆虫食文化〜」
2014年3月22日土曜日に、奈良県橿原市昆虫館で「橿原市昆虫館むしムシぜみなーる講演会」の一環として 「シロアリは悪い虫?〜アフリカ・ケニアの昆虫食文化〜」と題して1時間の講演をおこないました。橿原市昆虫館は標本や化石、生きた昆虫を見ることのできる博物館で、年数回、昆虫にまつわる講演会を開いています。
今回の中心の話題であるシロアリ食に関する話とともに、ケニアの農村の生活全般を紹介しました。家族連れもいると知らされていたので、なるべく写真や図解を多用した飽きない話を心がけました。実際に集まった聴衆は、お子さんから年配の方、他の施設の学芸員の方まで、幅広いものがありました。また別室では3月11日から4月6日のあいだ、ミニ企画展「アフリカ・ケニアの人と自然」と題してケニアの写真などが展示されました。
はじめにケニアについての一般的な話からはじめました。ケニアはどこにある?から始まり、農村の家屋や台所、畑などの写真を見せ、日本との違いを説明しました。主食はトウモロコシで、ウガリというダンゴ状にして食べること、おかずとしての野菜などの話もしました。
ここまでで一度休憩をはさみ、その後シロアリ食についての話をしました。アリとシロアリの違い、シロアリの生態などの解説をし、シロアリの捕まえ方、シロアリの料理法を説明しました。また食生活の中でのシロアリの位置づけについて、私の考えを述べました。シロアリを食べるということは、聴衆の人たちにはやはり驚きのようで、実際、橿原市昆虫館では昆虫食についての講演は何十年にわたり何度もおこなってきたそうですが、シロアリ食の話は今回が初めてということです。
私の話のあと、質問の時間が15分ほど設けられ、活発な質問が寄せられました。質問からは聴衆のみなさんがシロアリ食に限らず、アフリカの自然や生活全般に興味を持っていることがうかがわれました。特に、小学生くらいのお子さんが何人も積極的に挙手して質問していたのには驚きました。準備の段階で、どうしたら子供にも楽しんでもらえるか腐心したので、お子さんに興味を持って聴いていただけたことは大きな喜びです。
講演終了後には、昆虫食にちなんで、イナゴとハチの子の缶詰の試食会がおこなわれ、楽しいひと時を過ごすことができました。
なお、今回の企画は、私がアフリックアフリカのウェブサイトの「アフリカ便り」コーナーに載せているシロアリ食についてのマンガを、橿原市昆虫館の学芸員の方が見て興味を持っていただいたことがきっかけです。マンガという表現方法もアフリカを伝えるための有力な手段になるのだと改めて感じました。