第51回アフリカ先生報告(同志社中学校かるちゃんぷる部) 「ウガリを作って、食べてみよう!」

八塚 春名

これまで2度にわたり、アフリックメンバーをアフリカ先生に招いてくださった同志社中学校かるちゃんぷる部。3度目となった2010年8月24日は、「ウガリを作って、食べてみよう」と題して、サハラ以南アフリカで広く食べられている固練り粥について、その材料や作り方、食べ方について、学んでもらいました。

固練り粥は、スワヒリ語では「ウガリ」と呼ばれます。トウモロコシのウガリがもっとも有名ですが、モロコシやトウジンビエといった雑穀、あるいはキャッサバでも作られることなどを最初にお話しました。また、タンザニアで撮影したウガリを調理している場面と食べている場面の映像を観てもらい、ウガリについての想像を膨らませてもらいました。

「トウジンビエのウガリをこねる女性」

その後、みんなでウガリを作りました。今回は、トウモロコシ粉とキャッサバ粉を混ぜたものを材料に使いました。キャッサバ粉を混ぜると、トウモロコシ粉だけで作るよりも柔らかく、モチモチした食感を楽しむことができます。ウガリは沸騰させた湯に粉を入れ、大きな木ベラでひたすらこねます。最初のうちは柔らかくても、だんだんと粉っぽさがなくなり、まとまってくるにつれ、どんどん重く、こねにくくなります。キャッサバ粉のおかげで少し柔らかいとはいえ、それでも力とコツが必要です。また、のんびりこねていては焦げてしまい、こねが足りないと粉のかたまりが残ってしまったり、粉っぽさが残ってしまったりして、おいしいウガリにはなりません。生徒さんたちは、木ベラをどう動かせばいいのかコツがつかめず、ずいぶんと悪戦苦闘されていました。

おかずは、私が事前に調理をしておいたインゲンマメを煮たものと、ウガリ調理の後にみなさんと作った、ほうれん草(注1)の炒めものです。どちらも油、タマネギ、トマト、塩の4つがベースの味になっていて、タンザニアではとてもポピュラーなおかずです。出来上がったウガリ、インゲンマメ、ほうれん草を、アフリカで食べるように、それぞれひとつの皿に盛り、みんなで同じ皿に手を伸ばして食べることにしました。生徒さんたちは手でごはんを食べた経験もなければ、ウガリを食べたこともなく、あつあつのウガリを手で食べることにも、また、ウガリを丸めることにも、再び悪戦苦闘されていました。私は2年のタンザニア滞在歴のおかげで、手のひらにウガリがべっとり付く食べにくさを克服しましたが、生徒さんたちはウガリが手にくっつくせいで、なかなかうまく丸めることができず、私もタンザニアに初めて行った頃はそうだったことを思い出し、懐かしくなりました。

食後には、私の説明に沿って、インゲンマメとほうれん草のおかずのレシピを作成されました。生徒さんたちからは、「ウガリ作りは、ビデオで観た時は簡単そうに思ったけれど、実際にやってみて、難しかった」「手で食べることが難しかった」「煮たマメが甘くないことにびっくりした」などの感想をいただいたので、アフリカの人たちにとってみれば箸を使うことの方が難しいこと、日本のようにおかずの調理に砂糖を使う習慣がないことも伝えました。さらに「粉の種類が変わると味が変わるのか」「おかずに肉を食べる時は何の肉か」といった質問もいただきました。タンザニアへ行かれたことのある顧問の先生からも、「トウモロコシ以外のウガリがあることを知らなかった」と感想をいただきました。日本とまったく違う食文化から発見することはたくさんあるはずです。生徒さんたちは、ウガリを「意外においしい」と思ってくれたようで、今回のウガリ体験が、さらなるアフリカ理解へつながれば嬉しいです。

ところで、タンザニアで私が好きな食べ物のひとつに、ウガリのおこげがあります。村では毎日、スプーンで鍋底からおこげをはがし、食べていました。実は今回、私が「おいしいよ」と言うより先に、生徒さんたちはおこげを見つけ、「おいしそう」と鍋から一生懸命におこげをはがしていました。みんな目を付けるところは同じだなと、おかしかったです。

「村で食べたトウモロコシのウガリ。鍋の周囲には立派なおこげがついている」

注1 タンザニアにはほうれん草そのものはありませんが、サツマイモの葉、ササゲの葉、アマランサスなど、さまざまな種類の葉菜が使われます。
注2  写真1、3、4枚目は、かるちゃんぷる部顧問の織田先生による撮影。

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日本とアフリカに暮らす人びとが、それぞれの生き方や社会のあり方を見直すきっかけをつくるNPO法人「アフリック・アフリカ」です。