第79回アフリカ先生「在タンザニア日本大使公邸」報告(2014年2月15日)

「アフリカゾウの脅威と生きる人びと:セレンゲティ国立公園におけるハッピーハニーチャレンジ」

岩井 雪乃

タンザニアに在住する日本人の方々を対象に、アフリックのアフリカゾウ基金で取り組んでいる「ハッピーハニーチャレンジ」(ミツバチを活用した害獣アフリカゾウの追い払い活動)を紹介しました。会場は日本大使公邸をお借りし、大使館やJICAの方々をはじめとして50名に参加いただきました。

前半では、西欧がもちこんだ「自然保護」が、セレンゲティ国立公園に隣接して暮らすイコマ人に与えた影響をふりかえりました。保護政策によって狩猟が禁止されると、動物からの恵み(肉・富・名声)がなくなり、イコマにとって動物は農作物を食い荒らす「害獣」になってしまいました。外部からの援助者は「観光収益で被害を補填すればいい」と考えますが、多様なレベルでの構造の問題で観光収益の適切な分配はなされず、むしろ地域に新しい問題を生み出していることを指摘しました。

後半では、「自然保護によって地域住民が生活と文化を奪われている」という不公正な現状を打開するために、岩井が展開している活動を紹介しました。地上最大の動物アフリカゾウを畑から追い払うために、養蜂箱を設置しています。映像と写真によって、ゾウを追い払うことがいかに危険で難しいか、現場の臨場感を伝えました。

質疑応答では、対策をより効果的に実施するための質問やアイデアをたくさんいただきました。農民が保護動物から被害を受けている現状を何とかしたいと、参加者のみなさんが共感してくれたことが伝わってきました。私が問いかけた「不公正な現状を知った者の責任」を、これからも参加した方々は考え続けてくれると思っています。

*本セミナーは、「京都大学タンザニアフィールドステーション」および「SOMOの会」の主催で開催いただきました。どうもありがとうございました。

講演のようす

ハッピーハニーチャレンジの活動のようす