「アフリカ熱帯林の自然と人々の暮らし」
「いまづ環境学公開講座2007 自然環境と人間」での授業について報告いたします。授業は、「アフリカ熱帯林の自然と人々の暮らし」というタイトルで、2007年10月2日 (火)と9日 (火) の2回にわたっておこないました。
10月2日(火)生活を見てみよう
まず、アフリカ熱帯林の概要を説明したあと、熱帯林の自然や人々の生活にまつわるクイズをしました。「次のうちアフリカ熱帯林にいる動物はどれか」、「次の植物はそのかたちから何にたとえられているか」などの問題を選択形式で出題しましたが、生徒のみなさんは、ふだんの勉強とは一味違った問題に苦戦しながらも楽しんで答えてくれていました。また日用品に関する問題では、実際の道具を手にとってみてもらいました。
次に、都市部と比較しながら村の風景を紹介し、そこで生活を送るピグミーについての話をしました。おもに写真を見せながら、狩猟、採集、漁労などの活動について、その方法や収穫物などを説明しました。また、遊動生活という生活様式についても簡単に述べました。
最後に、現在における狩猟採集生活の変化について話しました。ピグミーの生活は、狩猟採集から農耕へ、遊動から定住へと変わってきており、このような変容は近代化、グローバル化と深く関わっていることを述べました。その意味では、私たちを含めた世界とつながりながら、同じように現代を生きている人々であるということを述べて授業をしめくくりました。
10月9日(火)文化について知ろう
まず、私が調査をしているガボンの人口、言語、宗教、民族構成について述べました。何人くらいの人がいるか、いくつの民族集団があるか、というような質問を生徒のみなさんに投げかけましたが、なかなか想像のつかない事柄も多かったようです。
次に、調査地における人口や民族構成などについての話をしました。とくに、同じ地域で暮らしているピグミーと農耕民の関係について話しました。両者は交換などを通じてお互いに依存しつつ共生していることを説明しました。
そして、ピグミーの社会や文化の特徴について話しました。森の資源を利用し、森を生活の場とするピグミーは、社会や文化においても森に深く根ざしていることを説明し、歌と踊り、遊び、儀礼などの映像を紹介しました。初めて目にする映像には生徒のみなさんも大いに興味を持ってくれたようで、授業後の感想では映像が面白かったというものが多くありました。
最後に、現在におけるピグミー独自の社会や文化の変化について話しました。ピグミーのなかには私が調査をしているガボンのバボンゴのように、農耕民の差異が小さくなっていたり、町の人々との交流を広げたりしている人々がいることを説明しました。ピグミーは、隔絶された場所でまったく変わることなく暮らしているのではなく、まわりの人たちとのつながりのなかで、社会の変化に柔軟に対応しながら生きている、ということを述べて2回の授業のまとめとしました。
まとめ
生徒のみなさんが授業後に提出した授業の内容についてまとめたレポートに目を通させてもらいました。細かな情報や写真のひとつひとつにいたるまで真剣に聞いて記録してくれており、なかには自分で関連する情報を調べてくれている人もいてとても感心しました。興味をもってくれた、これから調べて見たいという感想もあって大変うれしく感じました。
今回の授業では、生徒のみなさんがおそらくふだん情報に触れることのない国の、想像したことのないような人々について、とにかくまずは知ってもらうことを目的としました。そのうえで、この授業をきっかけにしてひとりひとりが自分なりにアフリカに対する関心を深めていってもらえればと思っています。