一般公開シンポジウム「研究者による社会連携について考える:NPO法人アフリック・アフリカの取り組み」

松浦 直毅

アフリック・アフリカが、2021年度「地域研究コンソーシアム賞・社会連携賞」を受賞したのを記念して、アフリックの取り組みを広くみなさんに知っていただくことを目的に、2021年12月11日(土)に一般公開シンポジウムをオンライン開催しました。たんなる団体紹介にとどまらず、アフリックの取り組みを事例として、研究者による社会連携のあり方や研究と実践の架橋についても議論したいと考えて企画しました。

まず、松浦がアフリックの概要と特徴について紹介しました。アフリックは地域研究者が中心の集まりなので、考え方が共通していて話が通じやすいこと、それぞれの地域に精通した経験豊富なメンバーから広く助言が得られることから、それぞれの会員が自分のやりたい活動を、無理なく身の丈に合ったかたちで継続的におこなえることが強みであることを説明しました。そのあと、各担当者がアフリカにおける三つのプロジェクト(DRコンゴ・水上輸送プロジェクト、タンザニア・アフリカゾウと生きるプロジェクト、ベナン・ソコニイルカプロジェクト)について紹介しました。

ゲストスピーカーの寺田佐恵子氏(日本学術振興会特別研究員PD)と岡安直比氏(NPO法人UAPACAA国際保全パートナーズ代表理事)からは、アフリックの活動についてコメントをいただくとともに、ご自身の活動について紹介していただきました。寺田氏は、JICAや環境省での仕事や、CITES有識者委員や学術会議若手アカデミーでの経験についてお話していただきました。岡安氏は、DRCでのボノボ研究にはじまり、コンゴ共和国でのゴリラ孤児施設やガボンのゴリラ調査地での活動、さらにWWFでの仕事について紹介していただくとともに、現在のNPOでおこなっているカメルーンとDRCの類人猿保全活動についてお話していただきました。

多様な経歴の方々が30名以上参加してくださったものの、話題が盛りだくさんであったことや、オンライン開催だったことで、質疑応答や議論が十分におこなえなかったのが少し残念でしたが、アフリックの特徴や活動の意義についてあらためて確認するとともに、さまざまな人たちと連携する可能性が広がり、アフリックの活動をますます発展させる期待が持てるイベントとなり、たいへん有意義でした。