料理名(日・英・現地語)
ハイビスカス酒(日本語)
choya (スワヒリ語)
食されている国や地域
タンザニア(ドドマ州チェンバ県)
この料理って?
乾燥させたハイビスカスのがくで作る赤色のお酒。わたしは発酵が始まって2日くらいのまだ甘いものが好きだけど、1週間、2週間と放置して、アルコール度が高くなったものが好きだという人もいる。いずれにせよ、ワイングラスに注ぎたくなるほど、きれいな色をしたお酒だ。
材料(50リットル分)
- ハイビスカスのがく(Hibiscus sabdariffa、乾燥したもの)1リットル容器2杯分
- トウジンビエ1リットル容器1杯分
- 砂糖(ハチミツでもOK)5㎏
- 水50リットル弱
※ ハイビスカスのがくは、アフリカの乾燥地でロゼーラやビサップなどと呼ばれるもので、ハイビスカスティーの茶葉と同じ。
調理手順
1)50リットルくらいの大きな容器に、水とハイビスカスのがくを入れてふたをし、水が赤ワインのような色になるまで1~2日置く。
2)1)に砂糖を入れ、1晩置く。
3)トウジンビエを臼と杵で搗く。少量の水を入れながら搗いて、トウジンビエの粒が壊れてきたら、それを2)に入れて、ふたをしてさらに1晩おく。
4) プクプクと気泡ができてきたらできあがり。最初はまだ甘いので、甘くないほうが好きであれば、あと数日寝かせる。
フィールドメモ
もともとキリスト教会がタンザニア中央部に持ち込んだことをきっかけに、この地域で普及したといわれているハイビスカス。ジュースにしても、お酒にしても、どちらもおいしい。この地域では、近所の人に農作業を手伝ってもらい、お礼としてお酒を用意することはよくあるが、このお酒は砂糖をたっぷり入れなければいけないため、ふるまい酒としては割に合わず、販売用にしか作られない。できあがると、工程の3)で入れたトウジンビエが、甘いお酒を吸い柔らかくなって、容器の底に沈殿する。底に溜まったこのトウジンビエは、この地域に暮らすサンダウェという人びとの言葉でnuwalooと呼ばれ、子どもたちの大好物だ。このお酒は、砂糖を入れて適当な濃度にすることと、自然の酵母菌に依存することで発酵を促している。わたしは日本でも同様の材料でつくったことがあったが、発酵がなかなか進まなかった。おそらく、よく酒をつくるタンザニアの家々には、天然酵母がたくさん存在しているのだろう。
バオバブとハイビスカスのジュース
紹介者:八塚春名