料理名(日・英・現地語)
バオバブ粥(日)
uji wa ubuyu(スワヒリ語)
gele lingisoo(サンダウェ語)
食されている国や地域
タンザニア・ドドマ州
この料理って?
穀物の粉を湯に溶き、どろどろにして砂糖を加えた甘いお粥は、アフリカのさまざまな地域において、子どもたちの(ときに大人も)朝ごはんや離乳食、また病人の食事として、食べられている。
タンザニアの半乾燥地帯には、バオバブ (Adansonia digitata, パンヤ科) がたくさん生育しており、人びとはその果実を入れてお粥をつくる。まるでレモンを入れたような、さわやかな酸味が広がり、砂糖を入れなくても十分においしいお粥になる。
バオバブの実。白い部分を食用にする。
材料(2人分)
- バオバブの実マグカップ1杯程度
- 水600cc程度
- 穀物の粉(トウジンビエ、モロコシ、トウモロコシなど、種類はなんでもOK)200~300g程度
調理手順
1) バオバブの実を水に入れ、混ぜ棒でかきまわしながら果肉を溶かす。
実を溶かすとクリーム色のジュースができる。
2) 1)を濾して火にかける。
3) 穀物の粉を少量の水にダマができないように溶き、2)に加える。
4) ぐつぐつとしばらく火にかける。途中でどろどろの加減を見ながら、必要に応じて水や粉を足してよい。
粉っぽさがなくなれば完成。
フィールドメモ
砂糖入りのお粥をつくるためには、砂糖を買わなければいけない。砂糖は決して安くはなく、代わりに安価な塩が入ることもある。しかし、たとえ砂糖や塩がなくても、バオバブさえ手に入れば、お粥はたちまちにさわやかでおいしいものへと大変身を遂げる。最近は日本でも、バオバブ果実のパウダーが販売されているのを見かけることがある。バオバブは、ビタミンCと繊維質に富んでおり、「女性の強い味方」だそうだ。
現地では、バオバブ粥は子どものために作られることが多い。でも、そのおいしさを知っている私は、調理が始まると、お粥の入った鍋をじーっと見つめ、「食べる?」と声をかけてもらえるのを待っている。
「熱々だからちょっと待ってね」
紹介者:八塚春名