京都府国際センター「アフリカ理解講座2009」(2009年8月4日)
黒崎龍悟、服部志帆
「アフリカ地域社会の生活・文化と開発」と題して、アフリカの文化・自然、人々の日常生活やアフリカ社会が抱える問題、それに対する地域住民の取り組みなどを紹介しました。より多くの府民の方に新たなアフリカとの出会いとなるような機会を提供し、アフリカの多様性、現代的課題について共に学び合うことを目的としました。今回はタンザニアとカメルーンについてお話ししました。
「地域発展に向けた住民主導の活動−タンザニア南部の農村から」 報告:黒崎龍悟
近年、開発途上国では社会開発を重視する住民参加型の農村開発が広く実施されています。 しかし「所得の増加」といった指標で評価される経済開発とは異なり、社会開発の効果は必ずしも数量であらわされるとは限らず、また、効果があらわれるまで長い時間がかかることもあります。市民の方々は、そのような社会開発の現場に関する情報に触れる機会が少ないのではないかと考え、タンザニアにおける自然資源の復元と地域経済の活性化を目指した住民参加型の農村開発プロジェクトについて話題を提供しました。プロジェクトが地域社会に与えたインパクトと、それを経て、住民が主導となって新たな活動に着手していった様子について提示し、農村開発の効果を知るには、長期的な視点に立ちながら、対象社会のさまざまな事象を広くとらえることが重要であることを述べました。
「森と人の共存について−カメルーンの森から」 報告:服部志帆
講演のねらいは、カメルーンに暮らす狩猟採集民バカ・ピグミーの文化について理解を深めること、バカ・ピグミーが文化を維持していくことを困難にしているものを知り解決策をともに考えること、自然と人間の共生のあり方について見つめ直すことでした。スライドを使いながら、参加者さんと一緒に森を旅する気持ちで、森に強く依存したピグミーの文化を紹介。ピグミーの文化が、伐採事業やピグミーを森から排除することによって自然を保護しようとする政策によって、大きく変わりつつあることを話しました。最後に、この地域で長い年月をかけて育まれてきたピグミーの文化を考慮した開発や自然保護を考え直す必要があるのではないかと、問いかけました。会場からは、人口増加と森林破壊の関連や、民族の多様性と民族関係の問題などについて質問をもらいました。理解講座がきっかけとなって、参加者さんたちのなかにアフリカへの関心の芽が育ってくれたなら、うれしいです。新たなつながりは、アフリックの活動に勢いを与えてくれるような予感がします。
※このイベントは、京都府国際センター「平成21年度NPO等との協働文化理解事業」の支援を受けて実施されました。