ゾウ見張り小屋、3棟が完成(2019年9月)

岩井雪乃

見張り小屋の完成記念式典

2019年8月に、アフリックが支援した「ゾウ見張り小屋」がミセケ村で完成し、記念式典を開催しました。式典には、400人の村びとが集まり、地元の新聞やテレビの取材もありました。

地元メディアを招いて、問題を広く知ってもらうよう努力している

雨の日に雨宿りしながらゾウ追い払いを継続することができるようになり、たいへん役立っています。ミセケ村は、被害を7-8割は防ぐことができるようになっていますが、毎晩の追払い活動は重労働です。寝る時間がないので体力を奪われますし、怪我をすることも頻繁にあります。追払いを、より負担を軽くして実施できるように支援していきたいです。

アフリックの目黒さんも駆けつけてくれた

看板には「AFRIC AFRICA」と入っている(3棟のうち1棟がアフリック支援)

ゾウに殺されてしまった19歳の青年

ただし、ゾウの来襲は減ることはなく、増加の一途をたどっています。ミセケ村は、追払いチームが団結して活動できているので、ゾウの侵入を阻止することができていますが、このような活動ができていない隣村では、被害は拡大する一方です。

追払いが行われていない村で、ゾウが前の晩に入った畑、足跡が生々しい

2019年は、村の中に侵入してきたゾウによって、セレンゲティ県内だけで7人が殺されてしまいました。過去最悪の数です。私が滞在していた8月にも、19歳の青年が犠牲になってしまいました。葬儀に列席しましたが、当然ながらお母さんの悲しみぶりは痛ましく、声をかけることもできないぐらいでした。なぜこの状況が放置されているのか、改めて悔しくてなりません。

葬儀には多数の村びとが参列

ワイヤーフェンスと追払いの組み合わせは、かなり被害を減らすことができるので、この仕組みをより多くの村に展開できるか、可能性を探っていきたいと思います。