ダミアンの日本滞在記(2014年7月)

岩井雪乃

タンザニアのパートナーNGOセデレック(SEDEREC)のダミアン氏を日本に招へいしました。6月28日?7月9日まで、2週間の滞在中の活動と、彼の感想を報告します。

900人の日本人にゾウの獣害問題を伝える

早稲田大学をはじめ、日本大学、東京外国語大学も合わせて、5回の講義・講演・シンポジウムを開催しました。約900人の日本人に、アフリカゾウによる獣害問題について知ってもらうことができました。

日本人学生にとって、ゾウは「保護するべき動物」です。地元で農民の生活が脅かされていることは想像もしていません。そんな彼らがダミアンの話から、ゾウと共生することの脅威と難しさを感じてくれました。

早稲田大学での講演

イノシシ猟体験(千葉県鴨川市)

ダミアンに日本の獣害問題について学んでもらうことが、今回の招へいの目的の一つでした。鴨川の農村で獣害対策の電気柵や罠猟を視察し、日本でも問題が拡大していることを知ってもらいました。

「テクノロジーの国ジャパンでさえも、獣害を抑え込むことができないとは、思ってもみなかった。驚いた。日本なら素晴らしい解決策があるのだと思っていた」
「地域の特性・動物の特性に合わせて、挑戦と工夫をくり返すしかないことがわかった」

日ごろヤギやウシをさばいているので、イノシシのあつかいは慣れたもの

上野動物園でじっくり観察

上野動物園にいるのはアジアゾウなのですが、ゾウを間近で見られることに感動していました。タンザニアでは、外国人観光客は自分の車でゾウに近寄って好きなだけ観察することができます。しかし、ダミアンたちタンザニア人は、畑にやってきたゾウを車もない状態でのんびり観察することはできません。追払うか、逃げるか、いずれにしろ生命・生活をかけて対峙することになります。ですので上野では、ゾウが餌を食べたり交尾するところを、30分以上、あきることなく観察していました。

ゾウとダミアン

動物との共生のあり方について、日本の事例から新しい発想も生まれたと思います。ダミアンが帰国したら、セレンゲティの農民のみなさんにたくさんのことを伝えてくれるでしょう。

一朝一夕に獣害問題は解決しませんが、セデレックとの連携を深めながら取り組んでいきます。

ABOUTこの記事をかいた人

日本とアフリカに暮らす人びとが、それぞれの生き方や社会のあり方を見直すきっかけをつくるNPO法人「アフリック・アフリカ」です。