第63回アフリカ先生「いまづ環境学公開講座」(兵庫県立西宮今津高校)報告

「アフリカの類人猿の子育て、狩猟採集民の子育て」(2011年11月10日)

松浦 直毅

恒例の西宮今津高校の講座に今年も参加させていただきました。私にとっては4度目の授業でしたが、今年は家庭科の授業で「子育て」がテーマであり、自分の専門である狩猟採集民の話だけでなく類人猿の話もするということで、これまでとはちがった新鮮な気持ちで臨みました。

はじめにヒトと類人猿の関係についての基礎的な説明をし、そのあとチンパンジー、ゴリラのそれぞれの発達過程や子育ての特徴について話しました。これらを通じて類人猿とヒトとの共通点や相違点について考えてもらうとともに、私自身が撮影したものもふくめて、チンパンジーとゴリラのアカンボウやコドモが登場する映像をいくつか観てもらいました。生徒のみなさんは、ふだん目にすることがない野生の類人猿の映像におおいに興味をもっていただいたようで、積極的に質問してくれる方もいました。

次に、私が研究しているピグミーと呼ばれるアフリカ熱帯林の狩猟採集民について話しました。ピグミーの生活や社会の概要を説明したあと、かれらの子育てや教育の特徴について述べました。生徒のみなさんにとっては、自分たちから物理的にも心理的にも遠いアフリカ狩猟採集民について知ることで、私たちが当たりまえに思っている子育てや教育のありかたについて問い直すきっかけになったのではないかと思います。一方で、どの社会にも共通して子育てに大切なことがあるということも、同時に理解してもらえてくれたらさいわいです。最後に、私自身も8月に生まれたばかりのムスメをもつ親として、子育ての大変さと、それをずっとうわまわる楽しさについて伝えて、授業を締めくくりました。