岩井雪乃
東京都立多摩動物公園のイベント「アフリカフェア」の記念講演会で「村を襲うアフリカゾウといかに共生できるのか?」という題で話させてもらいました。
そして、なんと、111回目のアフリカ先生で、開催日が11月11日と、1が7つも並ぶ記念講演ともなりました!
講演の準備をしている時、私は少し不安でした。動物園での講演会なので、当然、動物好きな方々が来ます。そうすると「ゾウを脅かして追い払うなんてかわいそう」「農業をやめて移住すればいいのでは」といった、ゾウ保護に関心の強い発言や、農民の追い払い活動に批判的なコメントがあるのではないかと思ったのです。それに対して何と説明して理解してもらおうか、対策を考えていました。
しかし蓋を開けてみると、参加者のみなさんは、村人の苦しい生活状況や命懸けの追い払いの大変さにとても共感してくれました。「犬を使って追い払えないか」「フェンスは効果があるのか」とゾウ対策を考えたり、「日本にいる私にできることはあるでしょうか」と自分ごととして考えたりしてくれました。動物好きな方々は、動物の恐ろしさも同時に理解していて、野生ゾウとの「共生」が家畜やペットのようにはいかないこともわかっているのだと感じました。
また、今年は日本でクマによる人身被害が多発していることも、ゾウ被害への共感につながっていると思います。クマが人を襲い、殺してしまう事件が度々起きていますので、ゾウでも同じことが起こることを想像しやすくなっているようです。日本に暮らす方々は、保護の結果、野生動物が増えて獣害問題になることを実感しているので、ゾウ獣害問題も住民目線で考えてくれる、そのことが今回よくわかりました。私としては心強いです。タンザニアでゾウ保護活動をしている方々にも、このように共感してもらえるように、もっと努力したいと改めて思いました。