料理名(日・英・現地語)
!kari (カリ;グイ語およびガナ語)
スイカ粥(日本語)
食されている国や地域
ボツワナ共和国セントラル・カラハリ地域
この料理って?
甘みのないさっぱりしたスイカを鍋いっぱいにいれて、じっくり煮る。その煮汁で、搗いて粉にしたスイカの種やトウモロコシを煮込んでつくるおかゆ。
材料
- スイカ(現地名:タアンギ)
- トウモロコシ
- お好みに応じて砂糖
調理手順
1)スイカを縦に薄くスライスする。種はとり除いてとっておく。
2)1)を鍋にあふれるほど入れる。水は加えないこと。
3)スイカが煮えて、水分が出てくるのを待つ。
4)スイカの種を、よく焼いた砂のなかで炒る。
5)4)を杵と臼で搗いて粉にする。あればトウモロコシも粉にする。
6)3)に5)を加えて、よく練って粥にする
7)お皿によそう。あれば砂糖を入れて、よくかき混ぜていただく
フィールドメモ
スイカ粥をつくる日は、のんびり時間が流れる。大きくておいしそうなスイカをよく吟味して、3つか4つ選んだら、調理開始だ。でも、お母さんはスイカを薄くスライスしては、味見をしてばかり。周りに集まった子どもたちも、われもわれもと手を伸ばして、味見ばかり。ようやく鍋がスイカでいっぱいになったら、そこから数時間かけてゆっくりスイカを煮込む。
スイカから少しずつ水分がでてくるのを眺めながら、ようやく種を炒り始める。炒った種の味見も欠かせない。よく炒った種を、これまたのんびりと搗く。ポクポクと杵と臼がいい音を響かせると、近所の人も集まってきて、おしゃべりが続く。いったいできあがるのはいつになるやら。でも、こうやって鍋の周りでスイカ粥が煮えるのを待つときこそ、楽しいひとときだ。
乾燥地に暮らす人びとにとって、スイカは貴重な水だ。乾燥した大地で長いあいだ暮らしてきたブッシュマンは、タアンギのような栽培スイカだけでなく、カラハリ砂漠に自生する野生スイカをも、料理や体を洗うために、大切に利用してきた。コトコト煮えるスイカ粥の横で、乾燥地で培われてきた知恵や工夫に思いをはせ、また一口、今度はきれいに搗かれて粉になったスイカの種の味見を始める。
紹介者:丸山淳子