第87回アフリカ先生「私立麻布高校」報告(2015年10月10日)

アフリカをめぐる視座の多様性:ガーナでの個人的経験から

目黒紀夫

2015年10月10日、東京都港区にある私立麻布高校でアフリカ先生を行なってきました。麻布高校はじつはアフリックの目黒紀夫の母校なのですが、最近は「教養総合」として学期ごとに多数の講座を開設しており、学生が学年やクラスの枠組みを離れ、自分の興味関心に近いものを選択するという授業枠を設けています。その1つとして、今年度は「アフリカ学」というリレー形式の授業が高校1〜2年生を対象に開かれており、約50人の学生が取っています。その1回として、アフリックの織田雪世が話をしてきました。

この「アフリカ学」ではアフリカにおけるビジネスがテーマになっています。それにたいして織田は「視座の多様性」というキーワードを設定し、学生、大使館員、援助機関職員、会社員と立場が変わるなかでガーナとかかわり続けてきた経験を話しました。日本の大都会にも負けないぐらいに美容院が乱立していたガーナの都市。それほどにたくさんの美容院がつくられる背景には、当然それなりの事情があります。授業の前半では、ガーナにおける髪をめぐる文化や経済的な成長、初等教育の普及と進学の困難さなどのうえに、そんなにもたくさんの美容院が生まれているのだということを説明しました。次に、大使館や援助機関の一員として日本という国からガーナという国への援助にかかわってきた経験を話しました。国際的な援助がどのような考えのもとで取り組まれ、そしてその考えが時代とともにいかに変わってきたのかというのが主な内容でした。そして最後に、現在のかかわりということで、今勤めている総合化学メーカーがガーナをはじめとするアフリカ諸国で販売している女性用かつらを、実物を手に取って見てもらいながら紹介しました。

こうした話をしたあとで学生からの質問を受けつけました。すると、美容院のあいだの競争はどうなっているのか、そんなにたくさんあったつぶれる美容院も出てくるのではないのかとか、女性用かつらを買えるのは経済的に限られた層なのか、企業/ビジネスとして何を重視しているのかなど、かぎられた時間のなかでは充分に話せなかったなと思うような点ばかりを突かれました。好奇心旺盛で積極的な学生のおかげもあって、充実した議論を最後にすることができました。

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日本とアフリカに暮らす人びとが、それぞれの生き方や社会のあり方を見直すきっかけをつくるNPO法人「アフリック・アフリカ」です。