第115回アフリカ先生報告(上勝中学校、2025年1月24日)

松浦直毅・関野文子・田中文菜

万博にちなんだ国際交流プログラムでアフリカとの交流を進めている徳島県上勝町からご依頼いただいて、2025年1月24日(金)に上勝中学校でアフリカ先生をおこなってきました。一方的な講義ではなく、にぎやかで和気あいあいとした内容にしようということで、私(松浦)のほかに関野さんと田中さんも参加してくれました。中学校全生徒と来年度からこの中学に来る小学6年生が対象でしたが、小規模な学校なので全員で25人、そのほかに先生や保護者の方々も参加してくださいましたが、とてもアットホームな雰囲気でした。学校自体が豊かな自然に囲まれていて、校舎は温かみのある木造で、気持ち良く授業ができる場所でした。

「アフリカと出会おう!」と題した授業では、まず私がアフリカの人口や国の数などの概要について、クイズをまじえて説明しました。写真をたくさん用いて、多様な自然環境や、都市から農村までのさまざまな人々の生活についてお話しました。つづいて、アフリカのことをもっと感じて、親しんでもらうために、田中と関野が自身の調査対象であるカメルーンのバカ・ピグミーの話を中心に、現地の生活や社会の特徴について話しました。田中は、バカの子どもたちの遊びや歌と踊りを動画も用いて紹介し、遊びを通じて自然のなかで学ぶ姿を示しました。関野は、バカの生業活動について話すとともに、食物分配にみられるような人々のつながりについてお話しました。休憩の時間には、楽器、仮面、日用品などのアフリカグッズを展示して、実際に触れてもらいながら解説をしました。

授業の最後にはグループワークをおこない、自分たちとバカの人たちとの共通点や相違点を挙げてもらったり、動物をとって暮らすバカの生活と野生動物保全との両立という難しい課題について考えてもらったりしました。みなさんは、自分たちとかけ離れた人のようでありながら、子どもの成長や子ども同士の関係、生きていくための知恵や自然とのかかわり方などには共通点があることを見出していました。

共通点として、豊かな自然のなかにある上勝町ならではの「森に囲まれて暮らしている」という答えもありました。保全の問題に関しては、文化を尊重する視点が挙げられたり、動物のとり方を工夫するという案が挙げられたりしました。白黒はっきりつけることはできない問題であり、答えを導き出すことが目的ではなく、色々な立場に立って考えること、それを周りの人と共有し、議論を深めることが目的のグループワークでしたが、アフリカとの交流を進めている成果もあってか、活発な議論がみられて意識の高さがうかがえました。

上勝町といえば「葉っぱビジネス」が有名で、最近ではユニークなゼロ・ウェイストセンターも注目されており、ご存じの方も少なくないと思います。授業のあとに、短い時間ですが町内を視察することができ、ゆっくりと1泊して川魚、柑橘類、しいたけ、お茶などをはじめとする地元の恵みを味わうこともできました。むしろ私たちの方が色々と学ぶとともに、癒される時間となりました。ご依頼いただいた関係者のみなさん、真剣に参加してくださった生徒のみなさん、ありがとうございました。

授業のようす