第114回アフリカ先生報告(アイパル香川、2024年10月14日)

井上 真悠子

香川県高松市にあるアイパル香川(香川国際交流会館)でおこなわれた「かがわ国際フェスタ2024」にて、ティンガティンガ教室をおこないました。今年3月のイベント(https://afric-africa.org/japan/teacher/2024/afric-sensei0113/)でもお世話になったJICA四国センターが担当するワークショップのひとつとして、当日は12名の方々にご参加いただきました。

今回も、はじめにティンガティンガの歴史や変化、タンザニアの社会的背景などについて、解説をおこないました。「かがわ国際フェスタ」は今年で30年目だそうで、香川県内の国際交流・協力団体が大集合していたそうです。JICAものづくりゾーンのティンガティンガ教室に参加してくださった方々も、もともと海外の文化に興味がある方々が多かったのではないかと思います。みなさん熱心に話を聞いてくださっていました。

また、今回は、2008年のティンガティンガ教室(https://afric-africa.org/japan/teacher/africa_sensei0273/)以来たびたびお世話になっている日本在住ティンガティンガ画家のマイケル・レヘムさんから、スワヒリ語での特別メッセージと、実際の描画の様子を短い動画で送っていただき、上映しました。

そしていよいよ、実際に描画体験開始です。今回も白・黒・赤・青・黄の5色の油性ペンキを使って、各自で緑やピンク、紫、オレンジなどさまざまな色をつくり出しながら描いていきます。

会場の時間の都合もあり、今回も前回同様、すでに下絵まで塗った状態の板を持ち込み、現場では最後の仕上げ部分だけを体験していただく形にしました。

当日は天候に恵まれ、換気状況・温度・湿度とも大変良好な環境で描いていただくことができました。ちょうどみなさんが描き終わるころ、窓辺の席に陽光がさしてきたので、完成した方から、ご自分が描いたティンガティンガを太陽の光にあててみていただきました。

じつは、ペンキで描いたティンガティンガは、室内照明の下で見るのと、太陽光の下で見るのとでは、色彩の印象がずいぶんと異なります。20年以上前、初めてタンザニアの太陽の下でティンガティンガを見たときの衝撃を、今でも鮮明に覚えています。太陽の光を浴びたとたんに生き生きと踊り出すような色彩は、ティンガティンガの重要な魅力のひとつです。陽の光がさす会場はなかなかないので、今回、描きたてのティンガティンガが輝く姿をその場で見ていただけたのは、とても幸運でした。

参加者の方々からは、「ティンガティンガの説明を先にしていただいたので、さらに興味をもちました」「絵が苦手なんですが、思ったより楽しかった」「これまでアフリカ大陸にだけ行ったことがなかったので、この機会に一度行ってみたい」といったご感想をいただきました。

ティンガティンガの描画は、細い筆を使って何度も色を重ねるなど、意外と複雑で難しいです。最初はみなさん不安げにおそるおそる筆を握られますが、自分で色をつくり出し、工程を経るごとに鮮やかになっていく色彩を見ているうちに、どんどん楽しくなっていくようです。特に今回は、最後に太陽光を浴びて元気に輝くティンガティンガを見た瞬間、その光の美しさに、「わぁっ」と思わず声が出た方もおられました。最後にはみなさんニコニコとご自分のティンガティンガを持って帰って行かれて、とても楽しいイベントとなりました。

今回も、JICA四国センターのみなさまには、準備から当日まで、大変お世話になりました。また、会場となったアイパル香川のみなさまにも大変良くしていただき、ありがとうございました。そして、幸運にも陽の光が入る素敵な会場を使わせていただけたこと、大変感謝しております。これを機に、タンザニアやティンガティンガに興味を持っていただけて、いつかタンザニアの太陽を浴びて輝くティンガティンガを見に行きたい、これを描いている人たちがどんな社会で生きているのかをもっと知りたい、と思っていただけたなら、とても嬉しいです。