第55回アフリカ先生「いまづ環境学公開講座」(兵庫県立西宮今津高校)報告

「アフリカ熱帯林の自然と人々の暮らし」(2010年10月13日・14日 地理B)

松浦 直毅

はじめに、アフリカ熱帯林に対して興味をもちながら概要を知ってもらうために、いろいろなクイズをだしました。「アフリカ熱帯林の分布はどれか」、「次のうちアフリカ熱帯林にいる動物はどれか」などの問題を選択式で出しました。また、時事的な話題として名古屋で開かれた生物多様性条約締約国会議もクイズに盛りこみました。私が想定していたよりも生徒のみなさんは苦戦していたようですが、生徒のみなさんがどのくらいの基礎知識をもち、どういうことに興味をもっているかを、われわれの側もよくふまえたうえでもっと魅力的な授業をしなければならないと感じました。

クイズのあとは、私が調査をしているガボンをとりあげ、森林の減少や動物の絶滅などのアフリカ熱帯林をとりまく問題について述べました。また、国立公園の動植物の写真をまじえながら、自然保護の状況と課題を説明しました。とくに、動物による畑荒らしの問題をとりあげ、保護活動の一方で地域住民が直面する問題をどう解決し、人々の保護活動への参加をどのように促していくかが課題であることを述べました。

後半は、ピグミーと呼ばれる狩猟採集民の生活についての話をしました。ピグミーの概要を説明したあと、狩猟、採集、漁労などの森と密接に結びついた彼ら生業活動について、写真を示しながら話しました。また、遊動生活や平等主義などの狩猟採集社会の特徴についても解説しました。私自身のフィールドワークでのエピソードをまじえたり、生徒のみなさんにとっても身近な携帯電話の普及などの社会の変化も扱ったりすることで、みなさんも興味深く聞いてくれていました。

西宮今津高校で授業をするのは3年ぶりでしたが、久しぶりに味わう高校の雰囲気に緊張しつつ、こちらもとても刺激を受けました。この授業を通して生徒のみなさんが少しでもアフリカの現状について知り、興味をもってもらえればと思っています。