バミレケは、カメルーンのどこに行っても、”守銭奴”のレッテルを貼られがちな商売の民である。野元美佐氏は、カメルーンの首都ヤウンデを舞台に徹底したフィールドワークを行い、露天商、タクシー・ドライバーなどの個人営業から、ホテルや企業の経営に至るバミレケたちの商い人生を、カネの”回し方”に注目して生き生きと描いている。
ほとんど手持ちのお金の無いところから、どうやってカネを工面し、増やし、より大きなビジネスに挑戦することができるのか。その秘密は、トンチンと呼ばれる頼母子講制度にあった。
“下積み生活”の中からいかにチャンスを見つけ出し、モノにしていくか。豊富に示される事例からは、起業を目指す目指さないに関係なく、日本の今を生きる私たちにも役立つヒントがたくさん詰まっている。本書は本格的な研究書ではあるが、読んでいるうちについつい眼が真面目になってしまうような、実益(?)を兼ねたアフリカ都市におけるサバイバル論が繰り広げられている。ああ、金欠気味の私もトンチンがしたい!