『208の国と地域が分かる国際理解地図 DOOR ③アフリカ』中村和郎・次山信男・滝沢由美子/監修

紹介:浅田静香

アフリカ研究に携わる人でも、アフリカの54の国と地域に精通する人はどれほどいるだろう。また、長年にわたってアフリカと関わる人でも、その国の地理や文化、産業に関して、知らない側面があるかもしれない。本書は、アフリカにある54のすべての国と地域を、見開き1ページで地図とイラストをもとに紹介する、たいへんマニアックな一冊である。マニアックといっても、全ページがカラー印刷でポップなイラストが散りばめられており、ルビも振られているので、小学生でも楽しみながら読むことができる。

本書の構成は、エジプトから始まって北アフリカ諸国を順に紹介し、西アフリカから中央アフリカ、東アフリカ、南部アフリカへと進んでいく形になっている。各見開きページには、左上に国名と国旗、概要が掲載され、左下にはその国を代表するような景色のイラストが描かれている。見開きページの右側にはその国のイラスト付き地図が掲載され、地理や農業、鉱業、人びとの生活や文化、世界遺産などに関して説明されている。それぞれの国・地域の「こんにちは」「ありがとう」の言い方も紹介されている。

左下のイラストだけを追いながらページをパラパラとめくるだけでも、旅をしているような感覚になり、砂漠から美しいビーチ、熱帯雨林やサバンナと、多様な景観があることがうかがえる。歴史や文化に関する情報も多く、それぞれの国や地域の特色がわかるとともに、人気のスポーツや日本へ輸出されている産品の紹介から、日本との共通点も学ぶことができる。

紹介者自身も、何度も足を運んだウガンダでラグビーの人気が高まってきていることを知り、行ったことのない西アフリカや南部アフリカ諸国のページを見ては、いつか行ってこんな美しい景色を見てみたいと憧れを募らせた。海なし国を調査地としていると、どうしても美しい海のイラストに注目しがちになるのは私だけだろうか――。

本書は「アフリカ」と一言でいっても、国や地域によって多種多様であることを再確認できる一冊となっている。アフリカへ行ったことがない人だけでなく、何度も行ったことがある人も新たな側面を知ることができるのではないだろうか。海外旅行へのハードルが高い状態が続くなか、本書でぜひアフリカへの旅気分を味わってほしい。

 

本書に内容協力したアフリック会員(五十音順):浅田静香、池邉智基、井上満衣、金森謙輔、桐越仁美、高村伸吾、村津蘭

*いずれのサイトもサンプルページがあります。

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書籍情報
単行本: 120ページ
出版社: 帝国書院
言語: 日本語
ISBN-10: 480716399X
ISBN-13: 978-4807163991
発売日: 2018/10/31